6月8日、新宿ピカデリーで映画『四月の余白』完成披露舞台挨拶が開催され、一ノ瀬ワタル、夏帆、上阪隼人、山﨑七海、吉田恵輔監督が登壇した。教育や体罰、更生をめぐる複雑な問いを投げかける本作。登壇者たちは撮影秘話や役作りへの思いを語ったほか、「変えたいのになかなか変えられないこと」をテーマにしたトークで素顔ものぞかせた。 吉田監督は、本作の企画の原点について「自分が中高生だった頃は比較的治安の悪い地域で育った」と振り返りつつ、「今のクリーンな教育だけで本当に収まりがつくのかという疑問があった。もちろん体罰を容認するわけではない。でも、その中間にあるグレーな部分は存在しないのか。その問いが出発点でした」と作品に込めた思いを語った。 一ノ瀬ワタル「評価が楽しみでもあり、不安でもある」 映画初主演を務めた一ノ瀬ワタルは、「完成披露舞台挨拶に来ていただいてありがとうございます。少しでも『四月の余白』をもっと楽しめるような話ができれば」と笑顔で挨拶した。 劇場映画初主演となる本作については、「もちろん嬉しさもありますが、この作品は衝撃作でもあると思うので、皆さんにどう評価していただけるのか楽しみでもあり、不安でもあります」と率直な胸の内を明かした。自身も空手道場で暮らした経験を持つ一ノ瀬は、「空手を通じて更生していく子どもたちを見てきた」と振り返り、「教育や体罰について自分の中にあった疑問に触れさせてくれる作品だと思いました」と作品への共感を語った。 吉田監督からは「今の日本で“泣いた赤鬼”を演じられる俳優は一人しかいないと思った」と絶賛される場面も。といいながらも、過去に2度、監督作品のオーディションに落選していたことを一ノ瀬自ら暴露すると、監督からの「キャラクターが濃すぎたね」とのコメントに会場は笑いに包まれた。 また、「変えたいのになかなか変えられないこと」は何か聞かれ、『人助けへの覚悟』を挙げた一ノ瀬。道で倒れた高齢者を見かけた際の経験を明かし、「いつでも人助けができる覚悟を持っていたい」と真面目な表情で語った。 最後には「この映画の結末がハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、自分にも分からない」と語り、「だからこそ皆さんの意見を聞いてみたい」と観客へ呼びかけた。 夏帆「冬子は観客に最も近い存在」 教師・草野冬子を演じた夏帆は、「冬子はとても一生懸命に生徒と向き合う人物。でも同時に折れてしまいそうな瞬間もある。それが現実なのかなと思いました」と役柄について語った。さらに、「冬子は観客に最も近い立場の人物であり、教育現場の問題を代弁する存在でもある。だからこそ説得力のある芝居をしなければと思っていました」と振り返った。 また、初共演となった一ノ瀬の印象を聞かれ、「この笑顔が本当に素敵ですよね。人懐っこいチャーミングさがありながら、どこか哀愁もある。現場ではいつも全力でしたし、打ち上げでもスタッフ全員に声をかけて回っていて、その姿が印象的でした」と語ると、一ノ瀬の額には大粒の汗が浮かんでいた。 また、「変えたいのになかなか変えられないこと」については、「締めのラーメンです」と即答。「お酒を飲んだ後、どうしても食べたくなってしまうんです。そろそろやめたいんですけどね」と明かし、会場を和ませた。 上阪隼人「人生で一番緊張しています」 夏帆演じる冬子の教え子・澤海斗を演じた上阪隼人は、この日が人生初の舞台挨拶であることが紹介されると「人生で一番緊張しています!」と初々しい表情を見せた。 海斗という役については、「人の痛みが分からない少年になってしまった背景や環境を考えながら演じるのが難しかった」と振り返る。吉田監督からは「喧嘩も弱いし、いいところが何もないやつ」と説明されたそうだが、「少し見捨てられない少年らしさも残したいと思って演じました」と役作りへの思いを語った。 また、みんなに聞かれたなかなか変えられないことは、考え事をする際に、思わず顎を触ってしまう癖があることを告白。「最近は顎を触りすぎてニキビができてしまったので、なんとか直したい」と真剣な表情を見せる場面もあった。 イベント最後に、吉田監督から突然締めの挨拶を任されることに。驚きながらも、「この作品は僕にとってデビュー作であり、人生の宝物のような作品です」と語り、「海斗のような人も実際に存在すると思う。その存在を受け入れるかどうかは皆さん次第。この作品を見て、知って、考えてほしい」と真っすぐな言葉で観客へメッセージを送ると会場から大きな拍手が沸き起こった。 山﨑七海「セリフが少ないからこそ表情で表現したかった」 生島詩を演じた山﨑七海は、「詩は一歩引いて状況を見ていることが多い人物」と説明。「撮影の合間も詩として周囲を見ることを意識していました。セリフが少ないからこそ、目や表情、体全体で感情を表現したいと思っていました」と役作りへのこだわりを明かした。 また、「変えたいのになかなか変えられないこと」として、「スマホのバイブの最初の音で目は覚めるのに、ベッドから起き上がるまでそこから30分くらいかかる」と告白。「ただひたすら天井を見つめているだけなんです」と語り、会場の笑いを誘った。 公開前に語られた一ノ瀬ワタル、夏帆、上阪隼人の思いとは。完成披露舞台挨拶とあわせてチェックしたい。 一ノ瀬ワタル主演、吉田恵輔監督 最新作『四月の余白』6月26日より全国公開