10月31日(金)、都内にて全国拡大公開初日記念舞台挨拶が開催され、竹野内豊、堺正章、風吹ジュン、そしてエリック・クー監督が登壇。フランスの名女優カトリーヌ・ドヌーブとのエピソードが明かされた。本作は、第29回釜山国際映画祭でクロージング作品として上映され、第37回東京国際映画祭でも注目を集めた話題作。

堺正章のエピソードトークに、竹野内豊も思わず大爆笑!

竹野内豊は、「カトリーヌ・ドヌーブが日本の景色(群馬や千葉)の中でお芝居をする姿を見るだけでも、貴重で価値のある映画だと思います」と、本作への思い入れを語った。

続いて監督との思い出を聞かれ、「とにかく撮影がスピーディーで、現場ではテスト1回・本番1回。監督が“豊がHappyなら僕もHappy!”と言ってくださったのが印象的でした。エネルギッシュで、純粋な心を持つ少年のような素敵な監督で、その人柄がこの作品に映し出されていると思います」と振り返った。

最後に、「観てくださる皆さんの歩んでこられた人生によって、感じ方はそれぞれだと思います。どうぞ最後まで楽しんでください」と観客にメッセージを送った。

カトリーヌ・ドヌーブへの“苺大福”に続き、エリック・クー監督には“ウイスキー”をプレゼント。その効果は?

堺正章は「この映画を撮影したのは昨年の1月から3月頃で、もう約2年が経っています。映像を観ると、少し若い頃の自分を見ていただけるかもしれません」と笑いを誘い、「時間が経ったことで公開を心配していましたが、こうして多くのお客様に囲まれてスタートを切れることを嬉しく思います」と喜びを語った。

続いて監督とのエピソードについて、「とてもお酒好きな監督です。毎回、撮影で来日されるたびに日本のスコッチウイスキー『イチローズモルト』をプレゼントしていました。少しでも僕のカットが多くなればいいなと思っていたのですが……どうやら効果はなかったようです」とユーモアを交えて会場を笑わせた。

さらに、「監督は陽気でありながらも芯の強さを内に秘めていて、現場のムード作りが本当に素晴らしい方です。映画に対する情熱が強く伝わってきました」と信頼を込めて語った。

カトリーヌ・ドヌーブへ演技提案するも・・気づけばすべて却下!

また、堺はカトリーヌ・ドヌーブとの千葉の海を眺めるシーンについて触れ、「現場でカトリーヌさんからいくつか質問をいただいたので、『こういうのはどうですか?』『ああいうのはどうですか?』といくつか提案したんですが、それはすべて却下されていました」と笑いを誘い、「そのシーンは映画本編にありますので、ぜひお楽しみください!」と語ると、会場は大きな笑いに包まれた。

高齢者となった自分だからこそ感じる、この映画の“とらえ方”

最後に、「自分も高齢者となり、これからの“現世”と“来世”について考えるようになりました。この映画は、来世に行ったときに“こんな来世だったら、現世の続きだよね”と感じられるような作品です。
非日常を、まるで日常のように描いている映画ですので、ぜひご自身の年齢や人生経験に照らし合わせながら感じていただければと思います」と締めくくった。

「スピリチュアルな愛の物語」風吹ジュンが語る、エリック監督の優しさと世界観

風吹ジュンは「やっと公開を迎え、皆さんにこうしてお会いできてとても嬉しいです」と笑顔を見せ、「残念ながら本日はカトリーヌ・ドヌーブさんがいらっしゃいませんが、映画では彼女の“生の姿”がしっかりと映し出されています。自然体のドヌーブさんが最も表現されている作品だと思います」と見どころを紹介した。

続けて、「本読みの時からずっと温かく現場を見守ってくださっていて、彼がいてくれたおかげだなと思います」と感謝を述べ、「脚本もとても好きで、新しい表現を知ることができました。その台本はエリック監督の息子さんが書かれたものだと聞き、すべてはエリック監督が生み出した世界だと感じました」と振り返った。

最後に、「こんなスピリチュアルな映画が生まれるなんて、本当に驚きでした。スクリーンを通してたくさんのことを感じ取っていただけたら嬉しいですし、そのままのドヌーブさんが映っている――これはエリック監督でなければ描けなかったと思います」と締めくくった。

「息子と脚本を巡り深夜まで語り合った」監督にとっても特別な作品に

エリック・クー監督は「昨年の撮影では、素晴らしいキャストの皆さんとご一緒できたことを大変嬉しく思っています」と振り返り、「カトリーヌと話した際、彼女が20歳のとき──1965年に映画『シェルブールの雨傘』のプロモーションで来日して以来、ずっと日本で撮影したいと思っていたそうです。それが今回実現できて、とても喜んでいました」とエピソードを明かした。

さらに「この映画は“魂の旅路”をテーマにしています。皆さんに楽しんでいただければ嬉しいです」とメッセージを寄せた。

続けて、「私にとっても非常に個人的で特別な作品です。息子のエドワードと夜通しストーリーを語り合い、“人間が亡くなったらどうなるのだろう”と考えてきました。私たちは“死”というものをポジティブに捉え、平和と救済の物語として描きたいと思ったのです。今の世の中にこそ必要なテーマだと感じています」と語り、「この映画から愛を感じてほしい。希望と愛に満ちた作品です」と締めくくった。

作品内容

⽗の死をきっかけに⾼崎を訪れたハヤト(⽵野内豊)。離婚したハヤトの⺟・メイコ(⾵吹ジュン)に思い出のサーフボードを届けてほしいという⽗・ユウゾウ(堺正章)の遺⾔と、フランス⼈歌⼿・クレア(カトリーヌ・ドヌーヴ)のコンサートチケットを⾒つけるが、その翌⽇、クレアの突然の死を知る。ハヤトは⽗の遺⾔を果たすため、家を出ていった⺟を探す旅に出る。⼀⽅、死後の世界で彷徨うクレアは、ユウゾウと出会い、⾒えない存在としてハヤトの旅を⾒守ることに。家族、仕事、⼈⽣―様々な葛藤を抱える中、旅路でハヤトが辿り着く答えとは︖そして、クレアが導く“奇跡”とはーー。