11月1日(土)、紫派藤間流の都内稽古場にて、ミス日本ファイナリスト13名が参加する勉強会が開催された。三代目家元・藤間紫先生を講師に迎え、「日本舞踊の世界」と「日本舞踊の表現」をテーマに、日本の伝統美と所作を学ぶ貴重なひとときとなった。 講師を務めたのは、紫派藤間流家元・三代目 藤間紫先生 演目「藤娘」のダイジェスト版を披露する藤間紫先生 講師を務めたのは、6歳から日本舞踊の手ほどきを受け、現在は女優としても活躍する三代目家元・藤間紫先生。NHK連続テレビ小説『ひよっこ』で女優(藤間爽子 / ふじま・さわこ)デビュー後、『ちむどんどん』『ブギウギ』、そして話題作『silent』や『新・暴れん坊将軍』など、幅広い作品で注目を集めている。 冒頭、藤間先生は「本日、踊っていて楽しくなったら、はしゃいでいただいてもかまいません」と柔らかな口調で語り始め、緊張気味だったファイナリストたちの表情を和ませた。 続けて、「皆さんに体験していただく日本舞踊は、歌舞伎の所作や踊りから発展していったものなんです。日本舞踊を学ぶことで、日本の伝統音楽や文学などにも自然と触れ、体を通して文化を感じることができます。音楽に合わせて物語の登場人物になりきり、その情景を体で、踊りで表現する――それが日本舞踊です」と、日本舞踊の成り立ちと魅力を丁寧に紹介した。さらに、日本舞踊の歴史にも触れながら、古くから受け継がれてきた日本の美意識をわかりやすく伝えた。 そして、「実際に日本舞踊を見て感じてもらいたい」との思いから、藤間紫先生は「藤娘」を、藤間翔先生は「越後獅子」をそれぞれダイジェスト版で披露。ファイナリストたちから大きな拍手が送られた。 両手で晒を振って迫力ある踊りを披露する藤間翔先生を真剣な眼差しで見つめるファイナリストたち 扇の取り扱いの指導を受けるファイナリストたち 扇が全員に配られると、まずは実際に開く前に、その扱い方についての説明が行われた。扇はとても大切なもので、決してぞんざいに扱うことはなく、両手で丁寧に扱うことが基本だと先生は語る。続けて、「要(かなめ)を親指や薬指で押さえることが大切。それができれば、どんなに動かしても基本的に落とすことはありません」と、扱いのコツを伝授。また、「あれ? 開かない」と思っても、決して力づくで開けようとしないように——との注意も添えられた。 実際に扇を開いてみると、うまくスライドできる人もいれば、少し苦戦する人も。最初は「うまく開かない」「むずかしい」という声も聞こえたが、先生の動きを見まねしながら次第にコツをつかんでいく姿が見られた。藤間先生は「扇と仲良くなってください」と優しく語りかけ、ファイナリストたちは真剣に取り組みながらも、リラックスした雰囲気で先生の指導に耳を傾けていた。 扇の開き方を学んだ後は、所作のレッスンへ。扇を帯に差し入れる際には「お侍さんが刀を腰に差している様子を思い浮かべて」とアドバイスを送りながら、歩く際には、目線や歩幅、腰の入れ方など――一つひとつの動作に込められた“美しい所作”が丁寧に指導された。 実際の稽古は、挨拶に始まり、挨拶に終わる——ということで、基本のお辞儀の仕方を学ぶことに。ファイナリストたちは扇を使ったお辞儀の仕方を教わり、目の前に置く扇の正しい位置を確認する。姿勢を整え、目と目を合わせて、心の底から「お願いいたします」——その声が揃い、稽古場に凛とした空気が広がった。 藤娘の一節を思わせる所作で、傘を手に小首をかしげるファイナリストたち 紫派藤間流家元・三代目 藤間紫先生からの温かなエール 最後に、藤間紫先生から「古典や伝統芸能と聞くと少し敷居が高く、難しく感じる方も多いかもしれません。ですが、日本舞踊の魅力は、着物を着て美しい所作が身に付くこと、日本の文化や心に触れられること、そして性別・年齢を問わず学ぶことができ、思いやりの心を育めることなど、たくさんあります。紫派藤間流では、それぞれの個性を大切に生かしています。私は、6歳から舞踊の世界に身を置いてきましたが、いまだに新たな発見や感動があり、奥の深い、とても楽しい世界です。皆さんも今日をきっかけに日本舞踊ってこういうものだったんだと身近に感じてもらえたら嬉しいですし、またやっていたいなと思っていただけたら嬉しいです。コンテストも大変だと思いますが、応援しています。皆さん頑張ってください」と大きなエールが送られた。 仲の良い雰囲気が自然と伝わる、第58回ミス日本ファイナリストの皆さん ミス日本開催趣旨 ミス日本コンテストは「日本らしい美しさ」を磨き上げ、社会で活躍することを後押しする日本最高峰の美のコンテストです。これまでに芸術芸能、学問研究、医療スポーツ、行政などさまざまな分野で活躍する女性を50年以上にわたって輩出してまいりました。今回もいずれも将来が期待される女性たちが出場いたします。審査基準にも掲げる「日本人らしい美しさ」とは、内面・外見・行動の3つの美しさからなります。これらをかね添えた人物を世に多く輩出し、社会をより良くしてまいります。努力を重ねた女性たちの中から、日本女性の美の最高位として、ミス日本の称号が贈られます。