5月30日(土)、池袋シネマ・ロサにて映画『小春日和~Indian Summer~』の公開記念舞台挨拶が行われ、主演の水村美咲をはじめ、由美かおる、楠部知子、正木佐和、松本動監督らが登壇した。精神科医でもある楠部が、自身のがん闘病体験をもとに製作した本作。前向きに生きることの大切さを描いたヒューマンドラマとして注目を集めている。

「せっかくがんになったから映画を作りたい」楠部知子が明かした原点

本作の立ち上げについて話が及ぶと、水村は楠部との最初のやり取りを振り返った。 「久しぶりにお茶でもしましょうと誘われて会ったんです。そこで初めて、楠部さんががんであることを聞きました。でも、目の前にいる楠部さんはいつも通り元気で、とても“がん”という言葉と結びつかなかったんです」と当時の驚きを明かした。

その上で、「楠部さんから『せっかくがんになったから映画を作りたい。自分なりのメッセージを残したい』という強い想いを聞いて、それならやる意味があるなと思いました」と語り、本作への参加を決意した経緯を説明した。一方で、共同プロデューサーという立場には大きな責任も伴ったという。「当時、楠部さんから5年生存率が50%だと聞いていました。だからこそ、もし途中で何かあったとしても、必ず劇場公開までやり遂げてほしいと言われていました」と振り返り、作品に込められた覚悟の大きさを明かした。

楠部は、2023年4月に血液がんの一種である多発性骨髄腫と診断されたことを告白。「映画製作の経験は全くなかったのですが、その分『やってしまえ!』という気持ちで飛び込みました」と笑顔を見せた。

また、自分が入院する時期に俳優の佐野史郎が同じ病気を克服し、復帰したことが大きな励みになったといい、「ぜひ佐野さんにも出演していただきたいと思いました」と明かした。闘病生活の中で背中を押してくれた存在が、本作のキャスティングにもつながったという。

映画を通して伝えたかったこと

イベントの最後には、主演の水村が観客へ向けてメッセージを送った。 「この作品は、冒頭で楠部さんの直筆メッセージから始まります。『どんな時もあなたが前を向いて新たな一歩を踏み出せますように』という言葉です。病気になったからといってくよくよするのではなく、誰かに力を届けたいという楠部さんの想いを、ぜひ受け取っていただけたらと思います」

続いて楠部は、本作に込めた願いを語った。 「『やってみよう』という気持ちから始まったこの映画が、たくさんの方々のご支援によって、こんなにも大きな形になりました。どんなことも、一歩踏み出す力に変えていけると思っています。病気だけでなく、障害や悩みを抱えている方も含めて、心で触れ合い、支え合いながら温かい気持ちになっていただけたら。そして、この映画が新たな一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです」

そう語ると、「一人でも多くの方に観ていただきたいです」と呼びかけ、温かな拍手に包まれながら舞台挨拶は幕を閉じた。

由美かおる、芸能生活60周年&48年ぶり映画出演 会場から祝福の拍手

48年ぶりとなる映画出演について、以前との違いを感じたかと問われた由美は、「皆さん文句ひとつ言わず、一生懸命頑張っておられて。テキパキと動かれていて、職人肌というか、特別なエネルギーを感じましたね」と撮影現場を振り返った。

また、由美への出演オファーの経緯について聞かれた楠部は、「大阪弁が使えて、凛としていて、言葉をきちんと伝えられる役者さんということで、『由美さんがいいよね。でも無理だよね』と話していたんです。おばあちゃん役ですし、インディペンデント映画ですし」と当時を回想。それでも諦めきれず、「ダメもとでお手紙と企画書、台本を送ったところ、由美さんの事務所からお電話をいただき、出演をお引き受けいただけることになりました」と明かした。

さらに、司会者から「『水戸黄門』といえば入浴シーンが定番でしたが、今回の役でもお願いしようという考えはあったのでしょうか」と質問が飛ぶと、松本動監督は「少しありました」と即答。会場は大きな笑いに包まれた。すると由美は、「それは若い方にお譲りしてね」と笑顔で切り返し、会場をさらに沸かせた。

また、芸能生活60周年を祝う花束を受け取った由美は、「皆さまにお祝いしていただいて、本当に感謝しています。ありがとうございます」と笑顔で感謝を述べた。

続けて、「私はこれまで、人との出会いをとても大切にしてきました。出会いの中で『素敵だな』と思えることを取り入れながら歩んできました」と振り返り、「人生には楽しいことも辛いこともありますが、それを乗り越えていける強さを誰もが持っていると思います。健康である限り、決して諦めず、前を向いて、楽しくチャレンジしながら進んでいけたらと思います」と語った。

そして最後に、「皆さまもぜひ前向きに歩んでいってください」と呼びかけ、会場からは温かな拍手が送られた。

あらすじ

《小春》と《ひより》 名前に込められた秘密と名付け親 鈴子ばあちゃんの想いとはー

ある出来事をきっかけに父親と衝突して家を飛び出してしまった小春。心配した友人らが行方を捜すが、後ろめたい気持ちで家に帰ることができない彼女が、偶然に看護助手として働くことになった病院で、様々な人々と触れ合うことにより徐々に自分と向き合うようになる。そんなある日、大好きだった鈴子ばあちゃんに教えられた大切な言葉をふと思いだし、ある決心をする・・・。

小春が消えた…、家を出た彼女は様々な出逢いを重ね、ある決心をする━。

人に言えない悩みを抱え、孤立してしまった小春は家出をし、一旦は現実逃避するも、心配する仲間や友人、鈴子ばあちゃんに支えられ、徐々に自分を取り戻してゆく。看護助手として新しく勤めることになった病院では、がんの闘病生活を送りながらも明るく毎日を生きる女性3人組のキャンサーズ、自身
の病状を受け入れ、残りの人生を自宅で過ごすために退院を選択した由紀など、それぞれの在り方でがんと向き合う患者や、周囲の人たちの想いや人生に触れ、これからの人生をどう生きるべきか模索する。 小春の過去にいったい何があったのか・・・。そして、彼女が決意した生きる道とは・・・。

企画・製作・プロデュース:楠部知子 | 脚本・監督:松本動
共同プロデュース:水村美咲 | アシスタントプロデューサー:福井由美子 | 音楽プロデュース:渡邊崇 | 助監督:鬼村悠希 |制作担当:佃光
撮影:安田光 | 照明:落合芳次 | サウンドデザイン:西岡正巳 | 監督助手:山中太郎 | 演技事務:森野くるみ  藤元優希
主題歌:由美かおる「とまり木」
特別協力:医療法人徳洲会 松原徳洲会病院551HORAI シネマプランナーズ  イサオビル
株式会社Made-Born-Japan
協賛:鮓小桜  MAEDA REAL ESTATE  吉田シンイチ  安藤孝志
後援:一般社団法人大阪府医師会 一般社団法人大阪府女医会 認定NPO法人キャンサーネットジャパン 
公益財団法人日本骨髄バンク 特定非営利活動法人全国骨髄バンク推進連絡協議会 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター 公益財団法人大阪観光局
宣伝:とこしえ | 関西宣伝:松井寛子 | 配給:フリック | ?2026「小春日和」PROJECT
2026年 | 日本映画 | カラー | シネマスコープ | ステレオ | 119分
公式HP:koharubiyori-movie.com  公式X:@koharubiyori_is