10⽉10⽇から TOHO シネマズ シャンテにて先⾏公開、31⽇より全国公開が決定した日本・シンガポール・フランスの共同制作映画『SPIRIT WORLD -スピリットワールド-』(カトリーヌ・ドヌーヴ主演、竹野内豊、堺正章、風吹ジュンら共演)の舞台挨拶が行われ、竹野内豊と堺正章が登壇し映画の魅力、共演者とのエピソードなどが語られた。本作品は、第29回釜山国際映画祭ではクロージング作品として上映され、第37回東京国際映画祭でも注目を集めた話題作。 竹野内豊、居心地の良い撮影を振り返って 「Are you happy?」エリック・クー監督の合言葉 竹野内さん: 「エリック監督はとにかくテンポの速い方で、現場では“テスト1回、本番1回”というスピード感。カットがかかると“Are you happy,Yutaka?”と笑顔で聞いてくれるんです。僕が“I’m happy!”と答えると、“OK! Next!”と次のシーンへ。撮影はとてもスピーディーでしたが、その分、現場には活気と自由さがありましたね。」 彼はさらに、カトリーヌ・ドヌーブの印象をこう語る。 「お互い忙しくて、ゆっくり話す時間はあまりなかったのですが、カトリーヌさんは日本の伝統文化にとても興味を持っていらして。撮影前に神社でお祓いを行ったときも、神主さんの所作をじっと見つめ、意味を知ろうとされていました。そのとき堺さんが、英語で丁寧に説明してくださっていて。監督もスタッフも“なるほど”と頷いていて、その光景が印象に残っています。」 竹野内さんは「撮影前から、ユウゾウ(堺)とクレア(ドヌーヴ)の関係性がすでにできあがっていた」と振り返った。 竹野内さんは、「これまで独特な感性で物語が構成されていて、おそらく、観る人それぞれの歩んできた人生観によって、感じ方や受け取り方が異なるのではないかと思います。ぜひ多くの方に広めていただきたいのですが、本当に“今見ている世界だけがすべてではない”ということ。その見えないところに非常に大切なメッセージが込められた、温かい作品です」と語り、会場からは大きな拍手が送られた。 愛嬌たっぷりで会場を沸かせた堺正章 国境を超えた“フラットなチーム” 堺正章さん:撮影を振り返り「竹野内さんの言葉どおり、監督をはじめシンガポールやフランス、日本のスタッフが入り交じる国際的な現場でした。 カトリーヌさんに対しても、最敬礼する現場でもなく、みなさんかリラックスし楽しむながら演技ができる現場。 日本のような上下関係や形式ばったやり取りがなく、みんなが対等に意見を出し合いながら作品を作り上げていく居心地が良い現場でした。」と、日本を舞台に国際的な雰囲気でおこなわれた現場の印象を語った。 カトリーヌ・ドヌーヴとの出会い 今回、共演したフランスを代表する名優カトリーヌ・ドヌーヴ。堺さんは彼女について、こんな印象を持った。 堺さん: 「ご高齢ではあるが、エネルギッシュで、輝く存在感がフランス女性ならではのもの。行動にも考え方にも誇りがあって、年齢を重ねることをポジティブに受け止めている方。本当にお会いできて良かった。会場の若い皆さんも歳を重ねて、私はもうおばあさんだから、などと言わず彼女の生き方や行動を見てほしいです」と、彼女の誇り高き美しい生き方を絶賛した。 フランスを制した!堺正章さん、カトリーヌ・ドヌーブと苺大福で距離を縮める 堺: 「初めてお会いしたのはホテルオークラだったんですが、カトリーヌさんは、僕のことを一切見てくれない(笑)。まあ当然ですよね。日本のタレントの一人なんて思われていたと思います。」「でもね、どうにか距離を縮めたくて、毎日ちょっとしたプレゼントをお渡ししていたんです。6日目に“苺大福”を差し上げたら、それが大ヒット。“これは何?”と聞かれて、“Japanese sweet”と伝えたら、とても気に入ったみたいで次の日から“ハグ”をしてくれるようになったんです。そのとき思いましたよ、『僕はフランスを制した!』って(笑)。」 「その後も苺大福を取り寄せて、こっそり差し上げていました。6個入りを渡したら、翌朝にはもう1個しか残ってなかった(笑)。それくらい気に入ってくださったんです。食べ物って国境を超えるんですよ。昔から探検隊が現地の人と仲良くなるときも、“塩”をあげてコミュニケーションを取っていたなんて話があります。人の心を通わせるのは、やっぱり口に入るものなんです。」 堺さんらしいユーモアと人生哲学がにじみ出る話しに、会場の観客からも大きな笑いが起こった。 愛する人との繋がりを見つめ直す、静かな感動作。「Spirit Worldは、非現実を現実のように優しく描いています。“生きること”“誰かを想うこと”について、何か一つでも感じていただけたら嬉しいですね。」堺正章さんのこの言葉が、会場に深く響いた。 作品内容 ⽗の死をきっかけに⾼崎を訪れたハヤト(⽵野内豊)。離婚したハヤトの⺟・メイコ(⾵吹ジュン)に思い出のサーフボードを届けてほしいという⽗・ユウゾウ(堺正章)の遺⾔と、フランス⼈歌⼿・クレア(カトリーヌ・ドヌーヴ)のコンサートチケットを⾒つけるが、その翌⽇、クレアの突然の死を知る。ハヤトは⽗の遺⾔を果たすため、家を出ていった⺟を探す旅に出る。⼀⽅、死後の世界で彷徨うクレアは、ユウゾウと出会い、⾒えない存在としてハヤトの旅を⾒守ることに。家族、仕事、⼈⽣―様々な葛藤を抱える中、旅路でハヤトが辿り着く答えとは︖そして、クレアが導く“奇跡”とはーー。