日本・マレーシア合作映画『天使の集まる島』の公開記念舞台挨拶が、8月30日、テアトル新宿で開催された。舞台には主演の青木柚、さとうほなみ、そして堀井綾香監督が登壇。マレーシアでの撮影秘話や、作品に込めた熱い想いを余すことなく語り、観客を魅了した。

映画の公開にあたり感想を求められた青木柚さんは、「嬉しいです。『天使の集まる島』が単独で公開できるとは想像していなかったので、こうして皆さんを前にできて大変光栄に思っています」と語った。

また、撮影場所となったペナン島の印象を聞かれ、「(映画の中でも観ていただけますが)とにかくカラフルで、多様な文化を受け入れる雰囲気があり、観光も楽しめる開放的な場所でした。ホテルの前には毎晩どんちゃん騒ぎをしているような飲食街があって、そこに足を踏み入れた瞬間だけ、自分も“パーティーピープル”になって(笑)、日本人を見つけると自分から声をかけたりと、普段の自分では考えられないくらい開放的になりました。でも、日本に戻るとやっぱりおとなしくしているんですけどね」と、現地での“キャラ変”エピソードを明かした。

さとうほなみさんも、「単独で公開できるなんて思ってもいませんでした。(上映時間が33分と短いので)観やすいのもいいですよね。“コーヒー飲もうかな?いや、映画観よう!”そんなふうに気軽に選んでいただける作品になれば嬉しいです」と、ユーモアを交えて笑顔を見せた。

また、映画の内容にちなんで「最近、自分自身と向き合ったこと」について問われると、「昨日、西のほうで仕事があり、その後すぐに東京でライブがあるので“帰ってくるぞ”となったんですが、新幹線での2時間半、お腹が痛くて……。その間ずっと自分と向き合っていました」と、独特のエピソードで会場を和ませた。

©2025「天使の集まる島」製作委員会

『天使の集まる島』は、ひとりの青年の“空想の旅”を描く異国ファンタジー。ほとんどがマレーシア・ペナン島にある世界遺産「ジョージタウン」を舞台に撮影が行われ、第 20 回大阪アジアン映画祭にてワールドプレミア上映で話題を呼んだ注目作。

堀井綾香監督監督は、舞台挨拶で「この物語に対する思いとしては、日々一歩踏み出せなかったり躊躇してしまうことがある中で、そこから少しでも抜け出してみる勇気だったり、自分に対しての優しさのようなものを持ち合わせてみたいと自分自身思っています。この映画を観ていただくことで、日常から少し飛び出し、聡太郎君と一緒に不思議な旅をして、また日常に戻るときに、そうしたメッセージや、聡太郎のラストのテンション感を持ち帰っていただけたら嬉しいです」と語った。

病院で闘病生活を送る孤独な青年・聡太郎を好演した青木さんは、マレーシア人俳優のジャド・ヒダーさんとの共演を果たした海外ロケについて、「初めの方は通訳の方に頼っていたんですが、撮影を進めるうちにいつの間にか、全員が不思議とコミュニケーションが取れるようになっていたんです」と言語の壁を越えて絆が深まった体験を明かす。一方、天真爛漫な“天使”のミミを体現したさとうさんは、撮影地となったジョージタウンについて「空想の世界のようなんですよね。おもちゃ箱をひっくり返したような」と魅力を語っている。

©2025「天使の集まる島」製作委員会

「ずっと一人。これまでも、これからも…」闘病生活を送る青年・聡太郎。いつものように病院の屋上で寝転がり、目を閉じる。ラジオから聞こえてくる不思議な音声に耳を傾け、ゆっくり目を開けると、そこはどこか知らない“異国の島”だった。その地で出会うのは、“天使”と呼ばれるミミと、彼女を愛するダニエルの二人。彼らと行動を共にする中で、聡太郎は自分自身と向き合うことになるが——。

左下:主演 青木柚、左上:さとうほなみ、右上:福地桃子、右下:ジャド・ヒダ―