11⽉29⽇(⼟)都内にて、『⽇経ウーマン』が、今年各界で⽬覚ましい活躍を遂げた⼥性を表彰するアワード「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」が開催され、「⼤阪・関⻄万博」や「国宝」を舞台に活躍された女性など、全7名が表彰された。 【⼤賞】永⼭祐⼦さん/永⼭祐⼦建築設計 取締役 ドバイ万博の資材を⼤阪・関⻄万博でリユースし、女性活躍がテーマの「ウーマンズ・パビリオン」などを手掛ける。2児の出産を機に人に任せる体制にシフト。「東急歌舞伎町タワー」や「Torch Tower」など、大規模プロジェクトの設計も手掛ける。 永山さんは、先ほど、”ナチュラル・ボーン・チャレンジャー”と言っていただきましたが、23年前、26歳で独立した当時を振り返り、「何もわからないまま事務所を立ち上げたのは無謀でした」と振り返る。立ち上げ当初のスタッフ2人も女性で、女性3人の建築事務所は当時珍しく、周囲から驚かれたという。 昨日参加した建築関連の授賞式でも、参加者の約95%が男性だったと述べ、いまだに女性が少ない業界であることを実感した一方、大学では学生の半数が女性になってきており、「今後は“女性建築家”という言い方自体がなくなるのでは」と未来への期待を語った。 また、今年は自身にとって節目の年となった。23年間走り続け、初の作品集をまとめてみると、これまでに手がけたプロジェクトは114作品。商品から超高層建築まで、スケールも分野も幅広い挑戦を続けてきた。その中でも、今年は大阪・関西万博の2つのパビリオン設計を任される大きな機会があった。ドバイ万博の日本館から「リユース」を前提に設計を進め、自分の理念を理解し協力してくれた大林組、山九をはじめ多くの企業の支えによって「リユース」での展開が実現できたと感謝を述べた。 最後に永山さんは、「願えば叶う」「口に出すと叶う」という信念を紹介し、やりたいことは積極的に発信し続けることで、無謀に見える挑戦も実現してきたと語った。 【受賞】⾚⽊円⾹さん/AgeWellJapan 代表取締役社⻑ シニアのウェルビーイング向上を軸に、新たなシニア市場を開拓。BtoB事業の売上⾼が開始1年で3倍に。 ウーマン・オブ・ザ・イヤー2026の受賞にあたり、赤木さんはまず、AgeWellを利用しているシニアの方々、そして200名を超えるAgeWellデザイナーやチームメンバーへの感謝を述べた。 AgeWell創業の背景には、祖母の「私は少し長く生きすぎてしまったのかもしれない」という言葉があるという。長寿大国・日本において、「100歳まで生きたい」と答える人は21%にとどまり、“長生きしたいと思えない社会”が現実として存在している。この状況こそが、高齢社会が抱える本質的な課題であり、ビジネスで解決を目指すのは決して容易ではないと語った。 それでも赤木さんは、仲間とともに笑顔で、楽しさを大切にしながら社会課題に挑んでいると述べる。「日本は課題先進国と言われますが、いつかAgeWellの先進国と呼ばれるよう、世界のロールモデルになりたい」と、今後の決意を示した。 【受賞】⼩川久美⼦さん/⾐装デザイナー 興収170 億円ヒットとなった『国宝』の⾐装デザイナー。映画⾐装の第⼀線で若⼿を導く76 歳 小川さんは、「李監督からのメッセージを知らされておらず、動揺しました」と笑顔を見せた。20代でスタイリストとしてのキャリアをスタートし、20代後半には薬師丸ひろ子の衣装や写真集を担当。その流れから映画『セーラー服と機関銃』の衣装も任されることになったという。 当時、映画の衣装という専門部門はまだ確立されておらず、いわば“男社会の象徴”である映画業界の中で、小川さんは監督ごとの明確な価値観の違いを面白いと感じながら、自身の美意識と作品に求められる役割のバランスを模索してきたと語る。「大変ではあったけれど、それ以上に刺激的で面白かった」と振り返った。 さらに、「実はそろそろ仕事を少し減らそうかと思っていたんです」とユーモアを交えつつ、これからも“楽しくて、面白くて、でも苦しい”、そんなクリエイティブの現場の魅力を知ってほしいとメッセージを送った。 【受賞】公⽂和⼦さん/シロアムの園 代表 ケニアで、療育・医療・教育・家族⽀援を⾏う障がい児⽀援施設「シロアムの園」を運営する⼩児科医 公文さんは、今回の受賞を「自分一人のものではなく、大切な友人たちの存在を伝える機会にしたい」と語った。世の中には、ただ“知られていない”という理由だけで、尊厳が守られないまま生きている人たちが数多くいると指摘する。 公文さんが思いを寄せるのは、マラカスとおばあちゃんが大好きだった、自閉症・てんかん・重度知的障害のある男の子の友人だ。彼は経済的困難や差別、偏見と日々向き合いながらも、社会からほとんど注目されることなく、15歳で生涯を終えた。しかし公文さんは、「彼は決して弱い存在ではなかった」と強調する。 その友人は、おばあちゃんにとって、そして公文さんや仲間にとってもかけがえのない存在であり、誰かの人生を豊かにする力を持っていた。公文さんは、「誰もが社会の中で大きな存在であることを、より多くの人に知ってほしい」と力強いメッセージを残した。 【受賞】藤原加奈さん/フジワラテクノアート 代表取締役副社⻑ 90年以上の歴史を持つ清酒・しょうゆの醸造機械メーカー。⼈事制度の刷新で5⼈の中途採⽤枠に800⼈が殺到 藤原さんは、女性による事業承継は突発的なケースが多いと述べ、自身もその一人だと語る。父の急逝により、専業主婦だった母が突然社長に就任した経験、そして藤原さん自身もさまざまな事情から事業を引き継ぐことになったという。改革の初期は苦労が多く、当時2歳と5歳の子育てと経営の両立にも悩んだと振り返る。 しかし、その子育て経験が新たな発想をもたらし、「課題解決だけでなく、自社の強みを言語化し、それを軸に経営を行う」という考え方にたどり着いた。表層的な課題ではなく、本質的な課題と向き合ったことで、人的資本経営やDX推進にもつながったという。 藤原さんは「地方の中小企業だからこそ発揮できる強みがある」と強調し、地方ならではの“幸せな生き方・働き方”が見えてきたと語る。2019年には「2050年ビジョン」を策定し、改革の歩みは道半ばながら、今回の受賞を10年目の節目として大きな励みにしたいとした。今後は、大胆な改革を進めながらも、社員一人ひとりに繊細に寄り添う経営を続けたいと語り、ビジョンの実現を通じて地域社会や女性の事業承継の未来に貢献したいと決意を示した。 【受賞】⼭岡加菜さん/キリンビール マーケティング部「氷結」アシスタントブランドマネージャー 廃棄となる規格外果実を活⽤した「氷結mottainai」企画を主導。第1弾は⽬標⽐150%超の約27万箱を出荷 山岡さんは、「飲料を通じて世の中を幸せにしたい」という思いを原点に、美味しさを楽しみながら社会課題も解決する商品づくりに挑戦してきたと語る。 代表的な取り組みである『氷結mottainai』は、ブランドを支えてくれる果実農家への貢献をきっかけに、本来であれば廃棄されてしまう果実に着目し、“もったいないを美味しいに変える”というチャレンジから生まれたものだ。 新しい価値観を持つ商品をゼロから立ち上げることには、多くの困難が伴い、「社会課題とビジネスの両立は簡単ではない」という声もあったという。しかし、志を共有する仲間たちとともに取り組み続けたことで、しっかりと成果につながったと振り返る。今回の受賞について山岡さんは、「大企業の中でも、好きなことに挑戦していいんだよ、と背中を押してもらえたように感じています」と笑顔で語った。 【受賞】若⽉貴⼦さん/クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン 代表取締役社⻑ ⼤量閉店からV 字回復へ。⼈事制度を刷新しドーナツブランド復活を主導。24 年12 ⽉期の売上⾼は過去最⾼ 表彰の盾を手渡したのは、審査員を務めた”パックン”ことパ トリック・ハーランさん 若月さんは、かつての大ブームと大量閉店を乗り越え、現在89店舗まで再生できたのは、「ともに支えてくれた社員やアルバイト、そしてお客様のおかげです」と感謝を述べた。 世界各国の支店をつなぐ社内会議では、「日本は年配男性が経営を握る社会だが、その中で女性のあなたはどうやって成功しているのか」と質問を受けたこともあるという。海外から見ても、日本では女性の社会進出が依然として進んでいない現実があると指摘する。そうした中で、女性経営者に光が当たる今回の受賞は大きな意味があるとし、「まだキャリアの道半ば。もっと頑張りなさいと言われた気がします」と前向きに語った。 また若月さんは、「日本では女性の社会進出が遅れていると言われますが、今や日本の首相も女性、東京都のトップも女性。これから女性の活躍はさらに広がっていくはずです」と、未来への期待を込めて話した。 審査員は、⼊⼭章栄さん(早稲⽥⼤学ビジネススクール 教授)やパックンらが務めた ⼊⼭章栄さん(早稲⽥⼤学ビジネススクール 教授)、及川美紀さん(Toget-HER 代表理事)、パ トリック・ハーランさん(タレント)、佐々⽊明⼦さん(テレビ東京 コンテンツ戦略局フェロー)の4名が「ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2026」の審査員を務めた。