2023年に創業115周年を迎えたグローバル刃物メーカーの貝印が11月8日、今年で第6回目となる「いい刃の日」PRイベントを銀座・観世能楽堂にて開催。俳優の町田啓太が勇壮な和装姿で登壇した。

【左から、遠藤浩彰氏(貝印株式会社 代表取締役社長 兼 COO)、町田啓太(俳優)、日爪ノブキ氏(Hat & Head piece designer)、永山祐子氏(建築家)】

イベントでは、創業115周年を記念し制作した包丁研ぎ啓発EVカー「TOGI CAR™」、三菱地所株式会社が取り組む「めぐるめくプロジェクト」への参画、貝印の新ブランド「SPIRAL(スパイラル)」が初披露された。また、「SPIRAL(スパイラル)」のデザイナーで、2020年ドバイ国際博覧会 日本館のデザインにも携わった建築家 永山祐子氏も登場。加え、フランス国家最優秀職人章に認定された、Hat&Head-piece designer 日爪ノブキ氏と共同開発中の縫製ハサミ「Ō(オー)」の説明および、「KAI Hat & Head-piece Competition 2023」の優秀賞受賞者が実制作した帽子から選ばれる最優秀賞の発表も行われた。

遠藤浩彰社長(貝印株式会社)による New Mission の発表

2022年度創業以来、初のグループ連結売上500億円を突破した貝印。その過半数を海外売上が占めるグローバル企業だ。今年で115周年を迎えた貝印の社長である遠藤氏から New Mission 「切れ味とやさしさ」が発表された。未来を切りひらきこだわりと優しさをもって人々の営みに誠実に寄り添うという想いを込め設定したことが語られた。

遠藤 浩彰 (えんどう ひろあき)氏 プロフィール
貝印株式会社 および カイインダストリーズ株式会社
代表取締役社長 兼 最高執行責任者 (COO)
2008年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、当社入社。
生産部門のカイインダストリーズ株式会社や海外関連会社kai U.S.A. ltd. への出向を経て14年帰任。国内営業本部と経営管理本部では副本部長、グループの核となる経営戦略本部、マーケティング本部、研究開発本部の3部門にて本部長に歴任。取締役 副社長就任を経て、2021年5月25日に貝印株式会社およびカイインダストリーズ株式会社 代表取締役社長 兼 最高執行責任者 (COO)に就任。

永山祐子氏(建築家)による新ブランド「SPIRAL」発表

高級カトラリーブランドのアイテムとして、スプーン、フォーク、ナイフ、スパヘラ、カトラリーハサミ、ソムリエナイフの5つが紹介された。制作にあたり永山氏は「岐阜県関市の工場を見学し、職人さんの丁寧な仕事と磨きの工程の多さに感銘を受けた」「今回のデザインでは、美しいダマスカス模様を使いたいと考え、関市の美しい自然とダマスカスの表現が重なり合うこともイメージしながら仕上げました」と制作エピソードを述べた。

永山祐子(ながやま ゆうこ)氏 プロフィール
1975年東京生まれ。1998年昭和女子大学生活美学科卒業。1998−2002年 青木淳建築計画事務所勤務。2002年永山祐子建築設計設立。2020年~武蔵野美術大学客員教授。主な仕事、「LOUISVUITTON 京都大丸店」、「丘のある家」、「豊島横尾館(美術館)」、「女神の森セントラルガーデン(小淵沢のホール・複合施設)」「ドバイ国際博覧会日本館」、「玉川髙島屋S・C 本館グランパティオ」、「JINSPARK」、「膜屋根のいえ」、「東急歌舞伎町タワー」など。現在、2025年大阪・関西万博にて、パナソニックグループパビリオン「ノモの国」と「ウーマンズパビリオン in collaboration with Cartier」、東京駅前常盤橋プロジェクト「TOKYO TORCH」などの計画が進行中。
オフィシャルサイト:http://www.yukonagayama.co.jp/

日爪ノブキ氏(Hat & Head piece designer)の縫製ハサミ「Ō(オー)」発表

日爪氏は「このプロジェクトが立ち上がった際、メンバーと既存のハサミについて徹底的に話し合いハサミを再定義しようと試みた。結果、ハサミ本来のあるべき姿を追求していくことができた。我々の持っている経験や知識をすべて注ぎ込んでいるハサミとなっているので皆様にぜひ体験いただきたい」と縫製はさみ「Ō(オー)」への思いを語った。

日爪ノブキ(ひづめ のぶき)氏 プロフィール
2004年に文化服装学院アパレルデザイン科を首席で卒業後、渡伊。イタリアのメーカーよりアンダーウェアのデザイナーとしてコレクションを発表する。帰国後、国内外の舞台やミュージシャンの帽子・ヘッドピースを手がけ、同時にアーティスト活動として「NOBUKI HIZUME」を展開。2009年よりフランスに拠点を移し、数々のグランメゾンのパリコレクション用の帽子を手掛けている。2019年、フランス国家最優秀職人章※に認定。同年、帽子ブランド「HIZUME」をスタートさせる。FW22、FW23のLOEWEのコレクションにおいては伝統的な帽子作りの技術を生かし洋服作りにも挑戦している。※フランス国家最優秀職人章(Meilleur Ouvrier deFrance:MOF)は、フランス文化の承継者にふさわしい高度な技術を持つ職人に授与される称号で、日本の重要無形文化財(通称、人間国宝)認定制度に相当すると言われている。

「KAI Hat & Head-piece Competition 2023」最優秀賞&クラフトマンシップ賞発表

「すべての人に、最高の帽子を届ける」という Mission と「新しい帽子文化の創出・帽子を作るデザイナーの育成」を目的に掲げ開催された KAI Hat & Head-piece Competition 2023。今年で2回目となるこのコンペティションを振り返り日爪氏は、「海外からの応募もあり、前回よりも遥かに多くの応募があり大きな進歩を感じさせられた。どの作品も完成度が高く、審査会で選定するのが非常に難しかった。今後の発展を期待している」と感想を述べ応募者にエールを送った。

上、会場に展示されたKAI Hat & Head-piece Competition 2023優秀作品

≪ 町田啓太、優雅な和装で剣術を披露!トーク&インタビュー≫