グローバル刃物メーカー 貝印株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長兼COO:遠藤浩彰)が、裁縫ハサミの歴史を誇る貝印の共同プロジェクトとして、フランス国家最優秀職人章の称号を持つ、Hat & Head-piece designer日爪ノブキ氏、モデルの冨永愛さん、プロスケートボーダーの四十住さくらさん、株式会社栗原 代表取締役社長 栗原亮さんをに招き「KAI Hat & Head-piece Competition」を開催。8月10日「ハットの日」にPRイベントの中で優秀賞が発表された。BPMは日爪さん、富永さん、遠藤さんにそれぞれお話を伺った。

「ハットの日」帽子にまつわるトークセッション

貝印のビジネス概況、本コンテストを開催するに至った経緯や審査の流れについて遠藤社長より説明があったのち、トークセッションがスタート。ゲストを交え帽子にまつわる話が展開された。日爪さんの最近の印象的な仕事として、3月に発表されたロエベのレディース2022年秋冬コレクションで、帽子に使う特殊な素材を使ったドレスの作成に挑戦したエピソードが語られた。また、サステナビリティ―を意識した最新の作品も披露。ペットボトルや過去のコレクションで使用した布の切れ端、古着などをアップサイクリングした作品となっている。冨永さんと四十住さんは、それぞれが コンテストに参加したつもりでデザインしたアイデアをプレゼン。四十住さんはスケーターらしく「絶対にけがをしない帽子」、富永さんは、背が高い自分を隠すための「身バレ帽子」など、クリエイティブなアイデアが披露された。今回のイベントは、設立110周年を記念して作られた貝印のコーポレートカラー「Ocean Blue(オーシャンブルー)」をテーマにした、 帽子のデザインコンテストとなっている。

~日爪ノブキさんインタビュー~

「1度しかない人生を使い切る」と自分を奮い立たせる人生

BPM:フランスに拠点を移し、現地で注目されるデザイナーになることを通り越し、フランスでの人間国宝の意味合いを持つといわれる国家最優秀職人章を受章するなど世界的に注目を集める日爪さんですが、ご自身が世界の舞台で活躍するまでには困難に直面したこともあったのではないでしょうか?その際、どう自分を奮い立たせ、何を大切に、そのような状況を乗り越えてこられましたか?

日爪さん:田舎で育ったからか、より多くの選択肢や刺激を求め、都会へ、そして世界へという気持ちが強くあり「1度しかない人生を使い切る」という考えが全ての根底にあります。つまり、この人生が1回であるならば、自分が見ることができる最大のものを見てみたい、挑戦してみたいということです!

フランスを拠点にしていますが、実は以前渡仏した際には、就労許可証の関係で1年で帰国を余儀なくされたことがありました。これは明らかに自分の気持ちも含めた準備不足だったので、次のフランス行きの際は、「自分には後がない」と常に自分を奮い立たせる理由をつくり『徹底的な準備』をしたことで13年目の今に至ります。

ここまで来るのに大変なことはたくさんありました。不思議なもので、諦めずにとにかく足掻いていると、何かが見つかる、チャンスがやってくる、誰かが手を差し伸べてくれる、という実体験があります。

「諦めるという選択肢を取らなければ何かが起こる」この気持ちを大切に、子供の頃に田舎で願った「その先」を見続けていきたいです。

BPM: 田舎から都会、日本から世界、次は宇宙でしょうか?

NASAの人類火星移住計画の部門で働いている友人と話した際、どうやら人間が大気圏を出ると脳の感じ方が変わるらしいのです。いつか自分も大気圏の外に出てみたいと思いますし、『宇宙服の帽子(ヘルメット)』を作ってみたいと思います!

~冨永愛さんインタビュー

心に残る帽子はガリアーノのハット

BPM: 今までファッションショーやイベントで沢山の帽子を被ってこられたと思いますが、ご自身の記憶に残る帽子とそのシーンについて聞かせてください。

富永さん:最もインパクトがあったのは、ジョン・ガリアーノが手掛けるクリスチャン・ディオールのランウェイです。彼のコレクションには帽子専門のデザイナーがつくのですが、その中で、「座布団のような」帽子が印象に残っています。どんなものでも帽子になりえるという帽子の可能性を感じることができました!

BPM: これからグローバルに活躍することを志す皆さまに向けて、ご自身が大切にしていることをご経験をもとにお聞かせください。

富永さん:「やるしかない!」という状況に自分を置くこと、を自分に課してきました。海外でのコレクションも不安に感じることもありましたが、行ってみないと分からない。だったら「まず行ってみる」と行動に移しました。行ったら、あとは「やるしかない!」ということになるので、「やるしかない状況」をつくることは自分を奮い立たせる一つの方法だと思います。

遠藤浩彰社長に聞いた今後の貝印のグローバル戦略

BPM: 現在売上の約50%が海外売上ということですが、日本に留まらず海外でも販路を広げ活動領域を広げている貝印が、次に考える新市場についてお聞かせください。

遠藤社長:欧米に関しては40~50年の歴史がありビジネスの基盤がしっかりしています。アジアでは中国の歴史が長く売上も伸びてきております。一方、インドは2016年に製造販売の拠点を設置してから今年で6年目ですので、今後更に基盤を固めていく必要があると考えます。そして全くの新規市場の可能性ということですと、インドを足掛かりにアフリカへの展開や、中南米などもございますが、「日本の文化」と共に包丁や爪切りを紹介する形で新市場にアプローチすることは可能性の一つであると思います。一口に刃物といっても、国によっては用途も違うし、求められる仕様も異なります。しっかりとした情報収集が必要ですので、海外比率にこだわり、やみくもに手を広げるのではなく、丁寧に市場を見極めながら選定していくことになります。大切な日本のベースはしっかり守りながら、未開の可能性を探っていく。お客様の声に耳を傾けながら、自社の品質にこだわりながら事業運営して参ります。

「KAI Hat & Head-piece Competition」概要

グローバル刃物メーカーであり、縫製ハサミの開発・製造においても長年の歴史を誇る貝印が主催し、フランス国家最優秀職人章の称号を持つ、Hat & Head-piece  designer日爪ノブキ氏を審査員にお招きし、110周年を記念して作られた貝印のコーポレートカラーでもある「Ocean Blue(オーシャンブルー)」をテーマにした、帽子※のデザインコンテストを開催します。

ご応募いただいたデザインの中から優秀賞として複数作品を選定し、2022年8月10日「ハットの日」のイベントにて発表させていただきます。優秀賞受賞者には、貝印の縫製ハサミを贈呈させていただき、実際に制作いただきます。制作いただいた作品は2022年11月8日「いい刃の日」に開催予定のイベント会場にて展示。さらに、最優秀賞を受賞された1名には、ヨーロッパ・ファッションデザイン研修旅行を贈呈いたします。

※帽子にはハットおよびヘッドピース全般を含みます

募集テーマ:「Ocean Blue (オーシャンブルー) 」
       第一次審査通過後実際に帽子を制作いただきます

募集期間:2022年7月1日(金)11時00分〜7月31日(日)23時59分まで

応募方法: https://www.kai-group.com/kaihat/

スケジュール
 デザイン応募期間 2022年7月1日(金)11時00分〜7月31日(日)23時59分まで
 書類審査     2022年8月上旬

 優秀賞発表    2022年8月10日(水)貝印「ハットの日」 審査員とのトークイベントにて発表 
 帽子制作期間     2022年8月10日(水)〜10月20日(木)
 最終選考     2022年10月下旬
 最優秀賞発表   2022年11月8日(火)貝印「いい刃の日」 イベントにて発表・展示
 2023年春以降   ヨーロッパ・ファッションデザイン研修旅行敢行
 ※コンテストスケジュールはやむを得ず変更する場合があります。

■日爪ノブキ氏 プロフィール

写真:貝印株式会社提供

2004年に文化服装学院アパレルデザイン科を首席で卒業後、渡伊。イタリアのメーカーよりアンダーウェアのデザイナーとしてコレクションを発表する。帰国後、国内外の舞台やミュージシャンの帽子・ヘッドピースを手がけ、同時にアーティスト活動として「NOBUKI HIZUME」を展開。2009年よりフランスに拠点を移し、数々のグランメゾンのパリコレクション用の帽子を手掛けている。
2019年、フランス国家最優秀職人章に認定。※フランス国家最優秀職人章(Meilleur Ouvrier de France:MOF)は、フランス文化の継承者にふさわしい高度な技術を持つ職人に授与される称号で、日本の重要無形文化財(通称、人間国宝)認定制度に相当すると言われている。
同年、帽子ブランド「HIZUME」をスタートさせる。

■日爪ノブキ氏 作品紹介

写真:貝印株式会社提供

HIZUME…2019年に自身の帽子ブランド“ HIZUME ” をスタートさせ、『最高の帽子デザイナーとは最高の帽子職人である』という彼独自の哲学を元に、HIZUMEブランドの有機的でかつ都会的な世界観をMOFに裏付けされる究極まで追及されたテクニックによって表現している。
HIZUME URL:https://hizume.com

■登壇者 プロフィール

写真:貝印株式会社提供

【スペシャルサポーター】
 冨永 愛 さん

17歳でNYコレクションにてデビューし、一躍話題となる。以後、世界の第一線でトップモデルとして活躍。モデルの他、テレビ、ラジオ、イベントのパーソナリティ、俳優など様々な分野にも精力的に挑戦。日本人として唯一無二のキャリアを持つスーパーモデルとして、チャリティ・社会貢献活動や日本の伝統文化を国内外に伝える活動など、その活躍の場をクリエイティブに広げている。公益財団法人ジョイセフ アンバサダー、エシカルライフスタイルSDGs アンバサダー(消費者庁)。

写真:貝印株式会社提供

【特別審査員】
 四十住 さくら さん

2002年3月15日生まれ。兄の影響で小学6年生からスケートボードを始め、高校2年生のときに出場したプロスケーターへの登竜門「X-Games」で第3位、続く「アジア大会」「世界選手権」で第1位に輝き、期待の若手として注目を浴びる。世界ランキング2位で挑んだ東京五輪では、スケートボード女子パーク部門にて見事金メダルを獲得。初代女王に。

■縫製ハサミ 商品概要
縫製ハサミとは…裁ちばさみとも呼ばれ、厚手の生地や布を裁断に適した鋏です。一般のご家庭だけでなく、布地や生地を取り扱うプロの方にもご使用いただいています。

©貝印株式会社

7280 ラシャ鋏 280MM
商品特長

・刃は、切れ味と耐久性に優れた 「モリブデン・バナジウムステンレス鋼」を採用。
・独自の刃付けにより、繊細でスムーズな切れ味を再現。
・グリップは長時間の使用にも疲れにくいソフトエラストマー樹脂。
・鋏の要となるネジ部は、ゆるみが出ない特殊ネジを採用。
https://www.kai-group.com/store/products/detail/13795

■貝印 縫製ハサミの歴史
貝印の縫製ハサミは1979年から製造を開始しており、その歴史は今年で43年目を迎えます。
▼N5000SERIES  ▼7000SERIES

©貝印株式会社

1979年
2000SERIES発売。
国際見本市ケルンメッセに出展。

1982年
5000SERIES 生産、市場へ。

1994年
N5000SERIES 更新デザイン決定。
・N5000SERIES
プロフェッショナル用商品として24種類のモデルを展開。

2003年
7000SERIES発売。2003年のドイツIMB縫製工業見本市に出展。

■日爪氏より応募される皆さまへ
●見たい応募作品について

 ぼくは「良いものを長く、後世にも伝えられるモノづくり」を目指して、日々クリエーションしています。これは、単に作品として優れているだけでなく、アップサイクリング(=本来捨てられていくモノを再利用する)など、環境にも配慮した作品をつくっているので、今回もそういった作品を見たいです。

●参加する方に向けてエール
 参加する方にお伝えしたいことは、ぼくの人生は何気なく参加した、初めてのコンテストで変わったということです。当時参加したコンテストで幸運にも見出していただいたおかげで、自分の可能性に気づくことができ、道が開けました。
 この世界で成功するには、2〜3回チャンスを掴み取る必要があります。その1回を、今回の「KAI Hat & Head-piece Competition」でぜひ掴み取ってほしいです。
 多くの作品に出会えること、楽しみにしています。皆さまのご参加をお待ちしております。

■日爪氏との縫製ハサミ共同開発について

©貝印株式会社

●本プロジェクトの目的
 貝印がこれまで培ってきた技能と日爪氏の知見との共創により、長く使用続けられる“歴史を書き換える縫製ハサミ”を現在開発中。
 縫製ハサミの研究開発およびハサミ加工技術の向上を目指す。

●共同プロジェクト発足の背景
 日爪氏との出会いは、 貝印広報誌「KAI FACT magazine」の取材。元々貝印の裁ち鋏を使っていただいていた日爪氏。取材の中でいいものを長く使うという点で、刃物がサステナビリティであることに共感していただいたことが始まりに。
 日爪氏のハサミに対する熱い想いや哲学と貝印の持つ技術力や常に高みを目指す姿勢が共鳴。切るという機能に加えて、切れ味や”味感”にもこだわり、日本人の持つ刃物に対する特別な思いや使い手目線で考えることを突き詰めれば、世界を圧巻できるハサミを作れるのではないか。
 世界で活躍している人が認めるものを具現化することで、最高峰のハサミを作りたいという夢が広がった。現在、長く使い続けられる縫製ハサミを開発中。

【貝印株式会社】
1908年、刃物の町として有名な岐阜県関市に創業。現在、生活に密着した刃物を中心とするカミソリ、メンズグルーミング、ツメキリなどの身だしなみやビューティーケア、包丁をはじめとする調理・製菓、医療用など1万アイテムにもおよぶ商品を展開し、商品の企画開発から生産、販売、物流までの一連を行っているグローバル刃物メーカー。
本社:東京都千代田区岩本町3-9-5  代表取締役社長兼COO:遠藤浩彰 https://www.kai-group.com/