2020年10月に始まったミス日本コンテスト2021勉強会の最終回(2021年1月9日開催)は、ミス日本コンテスト事務局が協働で参加する一般社団法人 AOAart 代表 藤島大千画伯と下村雄飛氏による自閉症者支援の講義。ファイナリストは「自閉症」という発達障がいに対する新たな知識と正しい学びを得た。13名は2021年3月22日(月)に延期開催が決定となった第53回ミス日本コンテスト2021に出場する。 BPMは、今回も取材のためZoom勉強会に参加した。

ミス日本2021の勉強会最終回は、一般社団法人AOAartによる自閉症者支援のオンライン講義。自閉症のシンボルカラーブルーのものを持つファイナリスト13名。 写真提供:ミス日本協会

「 自閉症のもどかしさ 」を感じるためのワーク。代表でパフォーマンスを披露する髙垣さん

「 自閉症のもどかしさ 」を感じるためのワーク。代表でパフォーマンスを披露する髙垣さん Photo: Screen grabbed Miss Nippon Zoom beauty training By Nishida BPM
一般社団法人 AOAart下村雄飛氏 Photo: Screen grabbed Miss Nippon Zoom beauty training By Nishida BPM

なかなか理解が難しい自閉症。それはどのように感じられるものなのかを体感するワークが行われた。髙垣さんだけに事前に渡されていたお題「砂漠で生まれた猫が大人になると海にたどり着く」を、身振り手振りと与えられた3つのキーワード(砂漠・猫・海)のみを使って5分間表現し続けるというもの。その間、他のファイナリストは髙垣さんが何を伝えようとしているのかを懸命に読み取ろうとするという取り組み。パフォーマーでもある髙垣さんは、圧巻の表現力を駆使して5分間の通常とは異なる表現方法でコミュニケーションを図ろうとし、ファイナリスト達もその内容を真剣に推測した。

「自閉症とは、コミュニケーションプロセスが一般と異なることからくる発達障がいである」と下村氏は話す。またその度合いも様々。表情が乏しい、目線が合わない、ボディーコンタクトを嫌がるという場合もあれば、中には欲しいものをとって欲しい時に身振りや言葉で伝えるのではなく、親の腕を掴んでその場所まで連れていく子供の例なども挙げた。言葉の選択に制約があるコミュニケーション、5分間のワークで自閉症の人や周りの人が感じているコミュニケーションのもどかしさやジレンマをこのワークから体験して欲しい。」そして、「AOAartのミッションは、自閉症者が快適に自分の気持ちを伝えやすいコミュニケーションフォーマットとしてアートを採用し、世の中に発信していくことだ。」と語った。

一般社団法人 AOAart 代表 藤島大千画伯 Photo: Screen grabbed Miss Nippon Zoom beauty training By Nishida BPM

AOAart代表で日本画家の藤島氏は中国の友人が自閉症をアートで支援するという活動を通じて、自閉症の子供たちと触れ合うようになっていった。そもそも自閉症とは、今もってまだまだ解明されていない部分も多く分かりにくい病気である。後天的な病気ではなく、あくまで先天的な脳の病気であることは分かっているけれど、その症状は様々で、知能指数が非常に高く、ある研究分野で世界的な評価を受ける大学教授もいれば、発達障害でコミュニケーションを取ることが難しい人もいる。写真を紹介する形で、重度の自閉症であり作家、詩人、絵本作家の東田直樹さんのことを触れながら、ヨーロッパでも知れ渡った東田さんの本がきっかけとなり、自閉症の子供たちも親の愛を感じ、理解していることが知られることとなったこと。そして、 自閉症の人には見ることができる色、輝き、世界観が存在することについて話した。

一般社団法人AOAartの活動

自閉症の子どもたちをモザイクで展示したアート作品 Photo: Screen grabbed Miss Nippon Zoom beauty training By Nishida BPM

アートを通じ様々な支援活動を行っているAOAartの設立のきっかけは、2006年に北京の美術大学の学生アーティストたちが自閉症の皆が創る作品に触れたことに始まった。そこから自閉症支援の輪は世界に広がり、韓国、イギリス、そして2014年、日本にもAOAartが設立されることとなった。月に1回のペースでワークショップやイベントを開催(2021年1月現在オンラインワークショップが開催)し、自閉症の子供たちとその家族に活躍の場を提供。 AOAartは、ワークショップのみならず自閉症のクリエイターたちの個性を生かし質の高い作品を制作し、展示会などを開催するなど、活動の場を広げている。

詳しくはAOAart 公式ホームページはコチラ

ミス日本コンテストとAOAartとの協働活動

ミス日本コンテスト事務局は、AOAartとの協働活動として数々のイベントやコラボプロジェクトに参加。2019年の「世界自閉症啓発DAY」では、自閉症のシンボルカラーであるブルーを身にまといイベントに参加するなどボランティア活動でイベントを盛り上げた。

ミス日本コンテスト事務局とAOAartの協働活動 Photo: Screen grabbed Miss Nippon Zoom beauty training By Nishida BPM
ミス日本コンテスト事務局とAOAartの協働活動 Photo: Screen grabbed Miss Nippon Zoom beauty training By Nishida BPM

ミス日本コンテストとは

ミス日本コンテストは、日本人らしい美しさを備えた女性を育成・輩出し、より良い社会を築くことを目指している。1950年に第1回が開催され、今年で52回となる日本で最も歴史のあるコンテスト。審査では外見はもちろん、教養などの内面や、将来の目標への努力・行動を重視している。そのため、出場者には日本の歴史や道徳、お能やお茶、浮世絵などの30講座にも及ぶ勉強会が提供されており、育成の性格を持ったコンテスト。これまで芸術、学問、ビジネス、政治、アナウンサーや女優、モデルなど様々な分野で活躍する女性を多く輩出しており、受賞者たちの将来に期待がかかる。