新大会委員長和田あいさんと前大会委員長和田優子さん ©BPMビュティーページェントメディア 撮影:西田

1995年から25年にわたり、ミス日本コンテスト大会委員長を務め、自身も1979年度ミス日本である和田優子(わだ・ゆうこ)さんが2020年7月31日をもって退任した。2020年8月24日に開催された第53回ミス日本コンテスト2021東日本地区大会は、新大会委員長となった和田あい(わだ・あい)さんにとっての就任後初めて大会となった。BPMは、大会に込める想いを新旧大会委員長のお二人に伺った。

新大会委員長 和田あいさん ミス日本コンテストの魅力とは:

新大会委員長和田あいさん ©一般社団法人ミス日本協会

BPM西田:今回が大会委員長としてはじめての大会となりましたが、本日の感想と率直な印象はいかがでしたか?

和田あいさん:新型コロナウイルスがあって世の中が閉塞的な雰囲気が漂っているかと思いますが、本日出場してくださった23名全ての皆さまが、希望を持って明るい笑顔でパフォーマンスをされていたので、本当にこれからの日本の社会が楽しみになるような気持ちになりました。

BPM西田:10月から勉強会が始まりますが、ファイナリストの皆さまにはミス日本コンテストならではの勉強会を通して、どのように成長を遂げてほしいと思われますか?

和田あいさん:私どもが掲げる3つの美、「内面の美」「外見の美」「行動の美」を磨いてほしいという気持ちで毎年勉強会を開催しております。ファイナリストに選ばれた方々は、ライバルであり仲間でもあるので、切磋琢磨してお互いに良い影響を与えながら一緒に成長していってほしいなと思います。

大会委員長就任後はじめての大会でスピーチを述べる和田あいさん©BPMビュティーページェントメディア 撮影:西田

BPM西田:30もの項目からなる厳選された勉強会で全てが学び多いものだとは思いますが、その中でも今回特にハイライトしておられるものはどの講義になりますでしょうか?

和田あいさん:ミス日本は、2017年からSDGsに正式にコミットしておりますので、この学びをどんどん広げていきたいです。それは単にSDGsの知識を学ぶだけではなく、自らが行動に移せるようになることが私共の願いですので、それを実現できるような勉強会を用意したいと考えております。

また、ミス日本OGが在籍する運営委員会という組織があり、昨年からこの運営委員会に協力を仰ぐ体制を整えましたが、今年は更に強力な関係でファイナリストの育成に臨めます。現役ファイナリストの方々は、OGの皆さまから言葉遣いや立居振舞いを学ぶことができ、体験談を通じ多くのアドバイスが得られるようになったことも大きなポイントではないかと思います。

BPM西田:前大会委員長のお母様も横におられるわけですが、大会に向けて「委員長として」の引継ぎのアドバイスやメッセージはございましたでしょうか?

和田優子さん(母):ありましたかね? 特になかったですね。背中を見て。行きなさい……と。そのような感じだったでしょうか?

和田あいさん(娘):小さいころからコンテストに携わって参りましたので、両親、特に母の背中を見ていろいろと学んできました!背中だけでなく、口数は多かったかもしれません(笑)。ただ、肝心なところは言葉にせず、やはり自分で学びなさいというスタンスだったかと思います。

ただ、このタイミングでのバトンタッチに関する母からの配慮としては、母も私とほぼ同じ年齢で委員長になったこと。そして、組織作りには時間が必要という母の経験と考えがあり、今からじっくり取り組んで自分らしい組織を整えるのが良いのでは、というところがあったようです。

BPM西田:最後に、あいさんにとって、ミス日本の魅力はどこにあると思いますか?

和田あいさん:ミス日本は、「日本の美しさ」「日本女性の美しさ」とは何かを追い求め、それを社会での活躍につなげていく存在です。ミス日本が掲げる「3つの美」は、この大会期間中だけ自分を磨けばよいというものではなく、女性の一生涯を通じて磨いていくものと提唱しております。ですから、例えばお婆さんになっても「彼女は佇まいが素敵だな」と周りから言われるような女性でいられるよう、「3つの美 」を磨き続けてもらいたいと思っております。

前大会委員長 和田優子さん 25年間を振り返って ミス日本コンテストと日本のつながり 

新大会委員長和田あいさんと前大会委員長和田優子さん ©一般社団法人ミス日本協会

BPM西田:まずは任期となりましたこの25年間、振り返ってみてどのようなことをお感じになりますか?

和田優子さん:そもそも私の就任のきっかけが、前任者である父が体調を崩したことだったということもあり、就任から7~8年はスポンサー様との関係も含めた新体制・組織づくりに時間を費やしました。そして、自分はどのようにこの大会進めていきたいのか、しっかりとした理念を持って、日本女性が持っている思いやりや優しさを体現できるようなコンテストにしていきたいと考えるようになりました。そこで審査方法も、出てきて並んでウオーキングして終わり、というようなものではなくスピーチを重視すること。自分が持っているものをしっかり伝えられる女性であってもらいたい、という考えを徐々に浸透させていきました。

そして、それを新大会委員長とミス日本事務局を中心に、勉強会というフォーマットに落とし込んで風通しの良い組織になっていくのを感じました。例えば、選ばれたミスの方々からも「このような活動をしてみたい」「あんなことはできないですか」など希望や提案を自由に発言できる関係がありましたし、彼女たちが1年間、ミス日本の活動を終えてみて「よかった」と思ってもらえる組織にしたいという想いをもって走り続けてきて、だんだん自分が想い描いた大会の形になってくるのをみて、「これだったらもう次にバトンタッチしても良いかな」と思える時期が来たのが、25年間経ったこのタイミングだったということです。

式年遷宮(※)がありますでしょう。20年に1度、社を全部新しくするものです。それは、社を造る技術を後世に伝えるという意味合いもあるのですね。20年ないし25年って、人間のライフサイクルの中で、次に委譲していくまでの醸成期間だと思います。もちろんその間も自分たちも必死ではあるのですけど、後世にしっかり繋ぎ発展し続けていくのに必要な期間なんだなと。任期を終えてみて感じるところです。

あと、就任当初から、性別に関係なくミス日本に関わる全ての人に、周りを思いやれる人間になってほしい。これを「心美人」「思いやり美人」とか色々な名前を付けて表現してきました。これは、素敵な人間になるためのワンステップなのかな、と思います。

※式年遷宮:20年に一度、東と西に並ぶ宮地みやどころを改めて、古例のままにご社殿や御装束神宝おんしょうぞくしんぽうをはじめ全てを新しくして、大御神にお遷りいただくお祭り。(参照:伊勢神宮HP内式年遷宮説明箇所抜粋)

BPM西田:この25年の中で、印象的な出来事として何があげられますでしょうか?

和田優子さん:外からの影響はやはり大きくて、1995年に阪神淡路大震災があり、その時に選ばれたミスは、頂いた賞金を寄付しますと言って、実際に関西に行って寄付をしてきました。2011年東日本大震災の際には、OGや現役のミスからも何かできることはないか、お手伝いしたいと大きな声が上がりました。その時期は直接現地に行くことは制限されていたので、自分たちでできることを考えた結果、現地から戻ってくる自衛隊や海上保安庁の皆さまをお迎えするボランティアを行いねぎらいの気持ちを伝えました。2016年の熊本地震の際には、避難所まで行って組手什(くでじゅう)という木製家具を作るボランティアに参加したり、そういったみんなの自発的な姿勢は印象に残っています。

BPM西田:オリンピックが2021年に延期ということで当初の計画と変わってきたこともあると思いますが、これからミス日本のみなさんがどのように日本と関わっていくと思いますか?

和田優子さん:昨年のラグビーワールドカップではお手伝いすることになりました。来年の東京オリンピック、パラリンピックでどんな形であれ携わることができればなと期待します。今までの経験から、運営の手順やノウハウがございますので、お手伝いできることがあるのではと思っております!

新大会委員長和田あいさんと前大会委員長和田優子さん ©BPMビュティーページェントメディア 撮影:西田

BPM西田所感(インタビューを終えて):今回、大会委員長(母と娘)のインタビューを通じて感じたことは、ミス日本コンテストの大会運営にも感じられることですが、ミス日本には『まじめな温かさ』があると率直に感想を持ちました。お話を伺いながら「日本人らしさとは何か?」の問いに、相手に柔らかさを持って向き合うことと考えることができましたし、大会運営代表のファイナルに選ばれなかった16名に最後に投げられた、用意されたものではない気持ちのこもった言葉を聞きながら、この大会の温かさに触れることができました。2021年の本大会に向け、代替わりするミス日本のみなさまのこれからのが今からとても楽しみです。

和田あいさんプロフィール

1983年生まれ(36歳)。早稲田大学教育学部卒業。University Of The Arts London やInstitute Marangoni Parisのデザインコースを修了後、2015年にミス日本チーフマネージャーに就任。2016年伊勢志摩サミットや2019年ラグビーワールドカップなど、国際的な場面にミス日本が登場する案件を次々に獲得した。

ミス日本コンテストとは

ミス日本コンテストは、日本人らしい美しさを備えた女性を育成・輩出し、より良い社会を築くことを目指している。1950年に第1回が開催され、今年で52回となる日本で最も歴史のあるコンテスト。審査では外見はもちろん、教養などの内面や、将来の目標への努力・行動を重視している。そのため、出場者には日本の歴史や道徳、お能やお茶、浮世絵などの30講座にも及ぶ勉強会が提供されており、育成の性格を持ったコンテスト。これまで芸術、学問、ビジネス、政治、アナウンサーや女優、モデルなど様々な分野で活躍する女性を多く輩出しており、受賞者たちの将来に期待がかかる。

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