2025年11月12日(水)、都内にて「THE NIKKEI MAGAZINE」が主催する「ビジネスや⽂化など様々な分野で限界に挑み続け、時代を変⾰する才能や情熱、志を持つ方々を表彰するアワード「SUITS OF THEYEAR 2025」が開催され、歌舞伎俳優・尾上松也、 競泳選手・池江 璃花子をはじめ、各界で活躍する著名人が受賞した。

今年で8回目を迎える「SUITS OF THE YEAR 2025」のテーマは『サステナブル』。表彰する分野は、「ビジネス」、「イノベーション」、「スポーツ」、「アート&カルチャー」の4部門。経営の革新や社会に新風をもたらす商品・サービスの開発などを対象とする「ビジネス部門」では、東宝株式会社 代表取締役社長 社長執行役員の松岡宏泰氏、新しい技術やアイデアで産業の進歩に寄与した「イノベーション部門」では、株式会社獺祭 代表取締役社長/4代目蔵元の桜井 一宏氏、競技の普及と発展に貢献した「スポーツ部門」では、競泳選手の池江璃花子氏、芸術やエンターテインメントで世の中に感動を与えた方にフォーカスした「アート&カルチャー部門」では、歌舞伎俳優の尾上松也氏の受賞が決定。

「アート&カルチャー部門」歌舞伎俳優 尾上松也氏

ジャケットを脱いだ時のベストのシルエットがお気に入りと話す尾上松也さん

栄誉あるこのような賞をいただけて、本当に嬉しく思っております。年齢を重ねてきた今だからこそ、スーツが似合う男としてより一層努力していきたい、そんな気持ちで身が引き締まる思いです」と述べた。

また、5歳で初舞台を踏んでから芸歴35年を迎え、歌舞伎のみならず多彩なジャンルで活躍を続けている尾上さん。今年印象に残った仕事について聞かれると、「2023年から演出にも携わるようになり、『刀剣乱舞』という作品を手がけました。その第2弾が今夏にあり、2か月にわたる公演だったため、かなりの時間と情熱を注いだ印象深い作品でしたね。さらに、歌舞伎に出演しながらミュージカル『エリザベート』にも参加させていただくなど、さまざまなジャンルの方々とご一緒できたことは、大変光栄でした」と振り返った。

「コロナ禍は悪いことばかりではなかったと感じています。あの期間を通じて、あらためてエンタメの重要性を実感し、こうして仕事ができることへの感謝の気持ちがより深まりました。その後、ありがたいことにお仕事もさらに増えました」と振り返る尾上さん。

続けて、「時間ができたときに、何気なく家にあったキャンドルを焚いてみたらすっかりハマってしまいまして。外出できるようになってからはキャンドルショップに足しげく通うようになり、日本キャンドル協会の方々とも仲良くなって、今では理事を務めています。仕事が一つ増えましたね」と会場を笑わせた。

その流れを受け、池江璃花子さんが「実は私もキャンドルが大好きで、癒されています」と話すと、尾上さんはすかさず「協会、入ります?推薦しますよ。見つけた!」とユーモアたっぷりに応じ、会場を和ませた。

「スポーツ部門」競泳選手 池江璃花子氏

「今までの素晴らしい受賞者の方々の中に自分を選んでいただき、本当に光栄に思います。ありがとうございます」と感謝を述べた。

また、今年オーストラリアから日本に拠点を移したことについて質問が及ぶと、「日本に戻ってきたことで、競泳の本業はもちろんのこと、社会人として、ひとりの人間としても、さまざまなことにチャレンジしていきたいと思っています」と新たな決意を語った。

アスリートとして、闘病をはじめ数々の困難を乗り越えてきた池江さん。逆境の中でも努力を続けられる原動力を問われると、「ずっと頑張り続けることは不可能ですし、心が折れそうになることもあります。でも、たくさんの方々に応援していただく中で、自分の存在意義を感じられる瞬間があります。『頑張る姿に勇気をもらっています』と言っていただけることが、何よりの支えになっています」と感謝の気持ちを込めて語った。さらに、「水泳で感じるストレスは、水泳でしか晴らすことができない」と話し、「後悔のないように日々トレーニングを重ねています。好きな水泳をここまで続けてこられたことに、心から幸せを感じています」と笑顔を見せた。

ロサンゼルスオリンピックに向けてのスケジュールについては、「今後は数週間から1〜2か月ほど海外でトレーニングを行うこともあると思います。また、競泳だけでなく、配信やモデル活動など、競泳選手という枠を超えた一面も見せていきたいです。海外の選手のように、多方面で挑戦できる選手になりたいと思っています」と展望を語り、「派遣標準記録は高いですが、ロスオリンピックには絶対に行きたいという強い気持ちがあります。どんなことがあっても自分の人生として受け止め、すべてを糧にして進んでいきたい。あと3年間、全力で頑張ります」と力強く締めくくった。

「イノベーション部門」 株式会社獺祭 代表取締役社長/4代目蔵元 桜井 一宏氏

「最初にご連絡をいただいたときは、本当に信じられませんでした。自分がこのような賞をいただけるとは思っていなかったので、心から嬉しく思っています。獺祭を応援してくださった皆さまのおかげで、この賞に導かれたのだと感謝しています。これからもスーツを愛し、身を引き締めて頑張っていきたいです」と喜びを語った。

続いて、獺祭のグローバル展開について問われると、「ニューヨークでの酒造りは、やはり簡単ではありません。2年前から“獺祭ブルー”というお酒を現地で造っていますが、日本の水に比べてアメリカの水は硬く、発酵の状態も大きく異なります。やってみると本当に試行錯誤の連続です。そこそこ美味しいお酒は造れますが、さらに上を目指すには、水・米・空気といった要素が生み出す“総合力”という壁をどう超えるかが重要だと感じています」と語り、挑戦の姿勢をにじませた。

「ビジネス部門」東宝株式会社 代表取締役社長 社長執行役員 松岡宏泰氏

「このような素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。多くの方々から“おめでとう!”と声をかけていただき、この賞の認知度と重みをあらためて感じています。スーツを着るたびに少しプレッシャーを感じることもあるかもしれませんが、その責任とともに、この賞への感謝を胸に刻んでいきたいと思います」と喜びを語った。

また、「未来に向けて大きな一歩を踏み出したと感じた今年の出来事」について尋ねられると、「理念体系を刷新し、コーポレートスローガンを『Moment for Life』に変更しました。多くの社員の力を結集し、東映グループの言葉として新たに定めたこのスローガンを共有しながら、未来へ向かって進んでいく、その理念刷新のプロセスこそが、今年最も印象的な出来事でした」と振り返った。

3年連続でオープニングアクトを務めた『おじフェス』の4名

オープニングアクトを飾ったのは、メンズモデルユニット『おじフェス』の久保田裕之さん、直樹さん、加藤章太郎さん、TAROさんの4名。InstagramやTikTokで公開しているコミカルなダンス動画が人気を集める彼らがステージに登場すると、会場は一気に熱気に包まれ、黄色い歓声が沸き起こった。