2023年11月25日(土)、都内にて開催された「WOMAN EXPO 2023 Winter」にて、今年最も活躍した働く女性に贈られる「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2024」(主催: 株式会社日経BP、後援: 内閣府)が発表された。大賞に輝いたのは、 10年以上にわたる地道な治療・啓発活動で、女性アスリートたちの無月経や骨密度低下を減らし、女性の健康支援の重要性を世の中に広く訴え続け、人々の意識の変革につなげた産婦人科医の能瀬さやかさん。BPMでは、受賞者8名全員を紹介します。

「ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2024」に選ばれた8名の受賞者

【大賞】日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター 国立スポーツ科学センター 産婦人科医 能瀬さやかさん

【受賞】ミツモア 代表取締役 CEO 石川彩子さん

【受賞】aba(アバ) 代表取締役 CEO 宇井吉美さん

【受賞】Elles Films 代表取締役 粉川なつみさん

【受賞】fermata(フェルマータ) CEO 杉本亜美奈さん

【受賞】ゆこゆこホールディングス 代表取締役社長 徳田和嘉子さん

【受賞】ポーラ ビューティーディレクター 堀野智子さん

【日経WOMAN創刊35年特別賞】 SWCC 代表取締役社長 グループCEO 長谷川隆代さん

【大賞】能瀬さやかさん(44歳) :日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター 国立スポーツ科学センター産婦人科医

女性アスリートの健康課題に早くから注視し、産婦人科医のスポーツドクターの必要性を確信した能瀬さんは、日本において女性アスリートに向けられていた一部の誤った認識「無月経になって一人前」といった考えに驚かされる。その後、データの収集と研究を通じて、これらの考えが誤りであることを証明し、科学的なアプローチを通じて女性アスリートの健康を保護しながら、国内外のハイパフォーマンススポーツの向上に貢献している。受賞スピーチで能瀬さんは「高校生の頃から、スポーツ医学、産婦人科に関わりたいと何となく考えておりましたが、今日のように自分のライフワークになるとは夢にも思っていませんでした。この賞は、これまで女性の健康問題、医科学的問題に取り組んでこられた全ての方を代表して頂いた賞だと思っております。今後は様々な方と連携しながら、産婦人科医としての視点でスポーツ界から発信していけるように、そして最終的には全ての女性の健康に尽力していきたいと思います。」とを語った。

【受賞】石川彩子さん(38歳):ミツモア 代表取締役 CEO

引っ越しやハウスクリーニングといった地域密着型サービスの自動見積もり、受発注ができるプラットフォーム「ミツモア」をリリースし、「日本のGDPを上げたい!」と32歳で起業した石川さん。受賞スピーチでは「現在の社会を見ると、過去1000年を振り返っても最もテクノロジーの進化が激しい時代になっているのではないかと思います。そんな激動の社会の中で自分が起業家として立っていられることがエキサイティングです。ミツモアが日本のインフラとなり、ミツモアがあったから日本のGDPが上がったよねと言われる、歴史の転換点を作っていける会社になっていきたい」と力強く意気込みを語った。

【受賞】宇井吉美さん(35歳):aba 代表取締役 CEO

介護施設でおむつ交換のタイミングを自動検知する機器を開発し、介護者の業務軽減と要介護者の不快軽減を同時に実現させた宇井さんは、改良版の新商品「ヘルプパッド2」を手に受賞スピーチを披露。「中学時代に介護が必要となった祖母は、戦中戦後と周りの為にがむしゃらに働き続け、自身が人生60歳を迎えた時、生まれてこなければよかったと口に出してしまうほど鬱になってしまいました。祖母を十分にサポートできなかったという気持ちから、工学博士を取りヘルプパッドの開発を進めました。私は介護を通じて高齢社会を救っていきたいと考えていますし、働く女性の生き方に挑戦しておられる全ての女性と共に素敵な社会を作っていきたい」と開発に秘められた思いと展望を語った。

【受賞】粉川なつみさん(27歳):Elles Films 代表取締役

粉川さんは、ウクライナのアニメーション映画「ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン」の日本配給権を獲得した。授賞式では、「1年半前、私は会社員でしたが、ウクライナの為に何かできることがあるのではないかと思い、アニメ映画上映に取り組み始めました。そしてそれは苦労の連続でした(笑)。お金が不足し、人手も不足して、さまざまな問題に直面するたびに、多くの人々が私たちを支えてくれました。この賞は、映画上映を実現するために協力してくれたすべての皆さまが受賞した賞です。皆さまの協力なしには実現できなかったことであり心から感謝しています。また、これからも世界の難しい問題を、アニメーション映画を通じて分かり易く日本に伝えていきたいです!」と全国58の映画館で上映を実現するまでのエピソードを語った。

【受賞】杉本亜美奈さん(35歳):fermata CEO

杉本さんは受賞スピーチにて「父がマレーシア人で、私は幼少期アメリカで過ごし、大学はヨーロッパに在学し、4年前にフェムテックをきっかけに日本に帰国しました。2019年には、フェムテックを日本に持ち込み、女性の心身にまつわる悩みや課題を共有できる場の創出や、それらの課題への解決を提供することをミッションに掲げて会社を創業しました。私たちはフェムテック市場の認知拡大や市場活性化に努め、特に世界で最も安全に生活できる日本を中心にアジアに向けて、新しい女性の選択肢を開発することができたらと考えています。」と語った。

【受賞】徳田和嘉子さん(40歳):ゆこゆこホールディングス 代表取締役社長

コロナ禍で売上が9割減という絶体絶命の危機に直面した「ゆこゆこ」の徳田さんは、徹底的な経費見直しと業務効率化に取り組み、その危機をリストラなしで乗り越えた。ピンチをチャンスに変えた徳田さんは「”ゆこゆこ” は、お節介なくらい人と地域に伴走し、賑わいを作るというウエットな目標を掲げている旅行会社で、地域活性化と高齢化の解決に取り組んでいます。コロナ禍は未曽有の状況でしたが、そういう時だからこそ、リストラだけはしたくないと考え、人として正しくありたいと頑張りながらも辛い時期を過ごしました。その中で、6000人を超えるユーザーの皆さまからの励ましやサポートがあり、コロナが明けたらゆこゆこを使って温泉に行くから頑張れとのエールを受け、徹底的な筋肉質な体制に変えてV字回復を果たすことができました。この賞は、宿泊施設の皆さま、自治体の皆さま、ユーザーの皆さま、そして日頃から頑張っているゆこゆこ社員の努力を評価していただいた結果だと思います。」とこれまでの苦労と感謝の言葉を伝えた。

【受賞】堀野智子さん(100歳):ポーラ ビューティー ディレクター

100歳にして現役の「最高齢の女性ビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定された堀野さん。受賞スピーチでは「私は女性を綺麗にして差し上げたいという気持ちをずっと持ち続けておりましたが、若いうちは色々とありご縁がありませんでした。39歳にしてようやくポーラのお仕事をすることができるようになったので、そこから私は夢中で一生懸命頑張りました。そして、気づけば100歳になっていました!年齢のことなど考えていなかったので、あっという間の60年間でしたし、これからも大好きなポーラのお仕事を続けていきたいと思っています。」と大好きな仕事への想いを堀野さんは語った。

【日経WOMAN創刊35年特別賞】 長谷川隆代さん(64歳):SWCC代表取締役社長 グループCEO

日経WOMAN創刊35周年特別賞に輝いた長谷川さんは、入社当初から存在した女性への差別や機会の不均等といった様々な課題に果敢に立ち向かい、ガラスの天井を次々と打ち破ってきた。業界初かつSWCC(旧・昭和電線ホールディングス)初の女性社長に就任し、大胆な事業と組織の再編を成功裏に実施し、結果22年3月期には純利益が過去最高を記録しました。トークセッションに登場した長谷川さんは「男性女性は関係ない。遠慮することはない。目の前に転がってきたチャンスは絶対に掴んでください。あなたの努力は誰かが見ているから。出てきた成果は誰かが分かってくれるから。」と全ての人にエールをおくった。

ウーマン・オブ・ザ・イヤー 2024 概要

日時:2023年11月25日(土)
会場:東京国際フォーラムホールE
主催:株式会社 日経BP 
後援:内閣府

審査員:相内優香さん(テレビ東京アナウンサー)、入山章栄さん(早稲田大学ビジネススクール 教授)、諏訪貴子さん(ダイヤ精機代表取締役)、原田曜平さん(芝浦工業大学教育イノベーション推進センター教授)

日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」について

【趣旨】

1)働く女性のロールモデルを提示

働く女性の多くが、身近に目標となる先輩を見出せないという悩みを抱いている。そこで、各分野で活躍する女性たちを紹介することで、働く女性のロールモデルを掲示する。

2)組織の中に埋もれがちな個人の業績に光を当てる、人材発掘型の企画

すでに著名な方から人選するのではなく、組織の中で埋もれがちな個人の業績に光を当て、新しい人材を発掘する。会社の看板に頼ることなく、個人の力を磨いてキャリア設計をする女性を紹介することで、21世紀型の仕事スタイルを探っていく。

3)働く女性の「今年」と「これから」を映し出し、時代の変化の矛先を捉える

働く女性の「今年」と「これから」を鏡のように映し出す企画でもある。その年に活躍した女性たちを通して、時代の変化の兆しを捉えていく。