2020年10月2日(金)からはじまった、一般社団法人ミス日本協会(大会委員長:和田あい氏)主催の勉強会にBPMは3日間密着した。30の多岐にわたったジャンルの学びを通して13名のファイナリストは、 2021年1月25日(月)開催予定の第53回ミス日本コンテスト2021に向けて 「内面」「外見」「行動」の3つの美を磨いてゆく。 講師には、ミス日本OGを含む各分野におけるその道の専門家という豪華な顔ぶれ。BPMはこれから日本大会まで複数回にわたってミス日本ならではの勉強会を通じ成長してゆくファイナリストの姿を追う。

1986年度ミス日本グランプリ画家で挿絵家の中村麻美(なかむら・まみ)氏 と
ファイナリスト13名 ©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

伝えたい日本のこころ 

1986年度ミス日本グランプリ画家で挿絵家の中村麻美(なかむら・まみ)氏による講義風景 ©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

ミス日本コンテストスポンサーのMTコスメティックス セミナースタジオ(東京都 千代田区)にて2日目の勉強会が開催された。複数ある講座の中でBPMが取材をさせて頂いたのは、1986年度ミス日本グランプリ画家で挿絵家の中村麻美(なかむら・まみ)氏を講師に迎え開催された講義。「伝えたい日本のこころ」(自身著書と同タイトル)と題した、日本人が大切にした「感謝」「祈り」「覚悟」「まごころ」を中村氏が今までに描いた作品や歴史上の人々の逸話を読み解きながらファイナリストに日本人の心やアイデンティティーをあらためて考えさせるような場となった。

ファイナリストは、順々に逸話を朗読した。現役高校生、アナウンサーや報道記者などマスコミ志望者などをそれぞれ夢を持ったファイナリストの朗読はそれぞれの個性が現れるものとなった。逸話の中には、小泉純一郎 元首相が内閣発足の所信表明演説で話した 小林寅三郎(こばやし・とらざぶろう)の「米百俵の精神」など政治家が大切にする話も含まれた。歴史的偉人やフランシスコ・ザビエルを含む多くの海外からの宣教師からみた日本人の話など、日本人であることを誇りに思えるようなエピソードの数々を自身の経験と見解とともに話す中村氏の話と美しい日本語に、ファイナリストはうっとりと釘付けとなって聞いているようだった。

医師を目指す林彩佳(はやし・あやか)さん は、「お話を伺って自分は普段生活をしている中で、自分のことだけを考えがちだと気づかされました。自分の子や子孫のことを考えていた昔の人たちの精神を見習いたいと思いました」と感想を聞かせてくれた。

林彩佳(はやし・あやか)さん ©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

将来の夢を新聞記者と語る吉田さくら(よしだ・さくら)さんは、「絵画が好きで、よく鑑賞するのですが、日本の絵についてここまで深く考えたことは、正直なかったです。これからは、道徳面での感じ方も大切に日本の美術鑑賞をしていきたいと思いました」 と感想を述べた。

吉田さくら(よしだ・さくら)さん ©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

真剣に講義を受けていた松井朝海 (まつい・あさみ)さんは、「日本画の歴史を初めてここまで学んだので、とても良い機会になりました。これから自身のスピーチなどにも参照させていただきたいと思いました。また、 山中鹿介さんの七難八苦のお話は、挑戦していこうと思う今の私の心境に重ねることができました」と自身の置かれた立場と重ねている様子を話してくれた。

山中鹿介の我に七難八苦を与えたまえを朗読する松井朝海(まつい・あさみ)さん ©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

中村氏は、学生時代より歴史上の逸話に興味を持ち、現在もNHK大河ドラマ「天地人」の原作である新聞小説の挿絵や月刊「武道」の挿絵など、数々の代表作を世に送り出すとともに、中村氏が強く願う「日本人が忘れてはいけない、日本人のよい行いや大和心を伝えるべく執筆や講演を全国各地でおこなっている。著書「伝えたい日本のこころ」は、ドイツ語でも発刊されている。

MTコスメティックスによるセミナー終了後の集合写真©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

世界に愛される日本文化「浮世絵」

日本ユネスコ協会連盟評議員 牧野健太郎(まきの・けんたろう)氏を迎え世界に愛される日本文化「浮世絵」と題した講義が行われた ©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

2020年10月4日(日)、 ミス日本コンテストのファイナリスト向け勉強会の3日目が都内で開催された。講師に日本ユネスコ協会連盟評議員 牧野健太郎(まきの・けんたろう)氏を迎え世界に愛される日本文化「浮世絵」と題した講義が行われた。「浮世絵をちょっと知っているだけで、周りから注意を集められますよ!」と、牧野氏の明るい言葉で講義がスタートした。 葛飾北斎、歌川広重、喜多川歌麿など有名な浮世絵師の作品が紹介され、隠されたメッセージ、暗号、粋な仕掛けなどをデジタルカメラで撮影された浮世絵をズームし彼らが描いた浮世絵を細部にわたり解説された。

著書「浮世絵の解剖図巻」を紹介する勉強会の講師 日本ユネスコ協会連盟評議員 牧野健太郎(まきの・けんたろう)氏 ©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

1921年米国の大富豪スポルディング兄弟によりボストン美術館に寄贈された浮世絵の数は実に数千枚。浮世絵は、和紙に丁寧に色刷りされており、繊細で光に弱く変色しやすいため、寄贈された際には「展示してはいけない」「館外に持ち出してはいけない」などと条件が出され、長きにわたって状態の良さが保たれたそう。展示することができなかった浮世絵が、 時を経て我々の目に触れることになったのは、多くの美しい浮世絵をデジタルで撮影できるようになったことがはじまりだそう。 牧野氏 は、ボストン美術館と共同制作した「浮世絵デジタル化プロジェクト」の日本側の責任者として、プロジェクトを牽引。 その美しさを愛でるだけではなく、浮世絵の細部にズームすることで江戸当時のライフスタイルをまるでタイムスリップするかのように覗き見ることができるようになったと。

日本ユネスコ協会連盟評議員 牧野健太郎(まきの・けんたろう)氏による「 世界に愛される日本文化「浮世絵」の講義 ©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

例えば、『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏(葛飾北斎)』の浮世絵。この絵をズームすると富士山が見えるが、西の方向に見える富士の位置から、千葉から横浜を見て描かれていることや3隻の船を拡大すると、8名の漕ぎ手が見えるがこれは当時の高速艇であることを意味するなどズームすることでわかる事が語られた。また、 江戸時代は高級魚は鯛などの白身魚で、まぐろは「ねこまたぎ(猫もまたいで食べない)」とされ、あまり好んで食べられていなかったなど、牧野氏の解説により当時の江戸庶民の生活に触れることができ、ファイナリスト全員の浮世絵への興味が一層高まったようにみえた。

牧野健太郎(まきの・けんたろう)氏 に質問するファイナリストたち
©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

講義を終えて、13名のミス日本ファイナリストから「本日の講義を聞いて、実際に浮世絵を見たくなりました。コロナ禍でもお薦めの美術館はどこですか?」「版画には何枚の版が使われるのか?」など多くの質問がでた。

インタビューに答えてくれたファイナリストのひとり髙垣七瀬(たかがき・ななせ)さん  ©BPMビューティーページェントメディア 撮影:西田

ファイナリストのひとり、髙垣七瀬(たかがき・ななせ)さんは、「教科書の中でしか知らなかった浮世絵の中に、たくさんの情報がちりばめられていて、浮世絵を見るだけで当時の生活を知ることができることに驚きました。当時の服装からどういう職業の人であるかまで知ることができるなど、本当に面白かったです。例年、この牧野先生の講義を聞き終えた瞬間に、博物館に走っていきたいと思う人が多くいらっしゃると聞いていましたが、その理由がよく分かりました。私も是非、浮世絵を学びに博物館に行きたいと思っています!」と語った。

牧野氏 は、ボストン美術館と共同制作した「浮世絵デジタル化プロジェクト」の日本側の責任者として、プロジェクトを牽引。浮世絵から読み解く江戸の文化の講義が全国で開催され、著書「浮世絵の大解剖」では、浮世絵を通して江戸時代の生活をイラストつきで楽しく紹介されている。

ミス日本コンテストとは

ミス日本コンテストは、日本人らしい美しさを備えた女性を育成・輩出し、より良い社会を築くことを目指している。1950年に第1回が開催され、今年で52回となる日本で最も歴史のあるコンテスト。審査では外見はもちろん、教養などの内面や、将来の目標への努力・行動を重視している。そのため、出場者には日本の歴史や道徳、お能やお茶、浮世絵などの30講座にも及ぶ勉強会が提供されており、育成の性格を持ったコンテスト。これまで芸術、学問、ビジネス、政治、アナウンサーや女優、モデルなど様々な分野で活躍する女性を多く輩出しており、受賞者たちの将来に期待がかかる。

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第53回ミス日本コンテスト2021 東日本地区大会 7名のファイナリスト誕生!