“呪物”にまつわる実話をもとに描くオリジナルホラードラマ『呪イモノ』の全話先行上映会が8月26日、東京・池袋HUMAXシネマズで開催された。ストーリーテラーを務める呪物蒐集家・田中俊行をはじめ、石川翔鈴、八木響生、豊田ルナ、東条澪、伊崎龍次郎らキャストと監督陣が登壇し、作品の舞台裏を語った。 『呪イモノ』は、丸山ゴンザレス、田中俊行、岸本誠(都市ボーイズ)、はやせやすひろ(都市ボーイズ)がストーリーテラーを務めるオムニバスホラー。身近に存在する「モノ」を入り口に、日常が少しずつ恐怖へと侵食されていく物語が描かれる。8月28日よりPrime Video「刺激ストロングSP」で毎月第2・第4金曜日に配信されるほか、スカパー!「刺激ストロングチャンネル」でも同日23時30分より放送がスタートする。 豊田ルナ&東条澪、本人役だからこその“呪われる前と後” 「それを拾ってしまった」には、豊田ルナと東条澪が本人役で出演。廃墟での番組収録後、アイドルの澪が落ちていた不気味な古い木箱を拾ってしまう。その直後から異臭や異音など不可解な現象が起こり、相方のルナも木箱の呪いに巻き込まれていく。 山田晃久監督は、アイドルとしての2人と「呪い」をどうマッチさせるかが演出上の難しいポイントだったと振り返った。豊田は、物語の始まりでは2人とも「呪われるなんて」「そんな呪いなんて」という感覚で、明るくテンションも高い状態だと説明。事前の読み合わせでも、監督から最初は「明るく」「元気に」とディレクションされたといい、物語が進むにつれて変化していくからこそ、「やっぱ最初の無邪気な姿をぜひ皆さんに覚えておいてもらいたい」と語った。東条が難しかったと明かしたのは、本人役としての自然な姿から“呪われた瞬間”への切り替えだ。「普段の自分たちが演じている、自分たち役を演じている部分と、その呪われた瞬間の切り替え」が難しく、映像になると表情だけではその差が伝わりにくいこともあったという。そのため、呪われる前と後でしっかり違いが見えるよう、表情などを意識して演じた。 本人役であるからこそ、日常と恐怖の境界がより曖昧になる本エピソード。豊田は、自分たち自身でカメラを回しているシーンもあることを明かし、「ストーリー的にはちょっと怖いものにはなっておりますが、私たち頑張ったんだなっていう温かい目で見ていただけたら」と笑顔。東条も「普段の私たちの素の様子と、またその変わった瞬間だったりですとか、それを楽しんでもらいたい」とアピールし、劇中に登場するバラエティ番組「今日から推してくれますか」にも注目してほしいと呼びかけた。 豊田ルナ、東条澪ら8人が”素顔”全開 新番組『今日から推してくれますか?』完成記念イベント開催 伊崎龍次郎、実在する「呪いのノート」に触れ「関わってしまってよかったのかな」 「呪いのノート」に出演した伊崎龍次郎。このエピソードの特徴のひとつが、物語のベースとなった不気味なノートが実際に存在すること。山田雅史監督は、その実物のノートを「どういうふうに物語にしていくか」と考えたと説明。他のエピソードがドラマとしてカットを割りながら撮影されているのに対し、この話は伊崎が取材している映像という設定を採用。ホームレスへの取材映像の中にノートが現れるという、通常のドラマとは一味違ったアプローチとなっている。さらに映像をVHS風に荒らし、ノイズを加えることで、「何にもないシーンなんだけど、なんか気持ち悪いぞ」という感覚を狙った。伊崎も「ドキュメンタリーチックで非常にリアルな質感で撮られていて」と、その映像表現についてコメント。ホラーで恐ろしいのは、お化けが突然現れて驚かされることだけではない。日常の延長線上に異質なものが存在し、「自分の周りにもこれあるかもしれない」と感じた瞬間に生まれる恐怖。そのリアリティーが本作にはあると語った。 物語のベースとなった実物のノートにも触れたという伊崎。「実際そのノート触らせてもらって、質感みたいなのとかも今でもこう覚えてます」そう振り返った伊崎は、続けて「関わってしまってよかったのかなって、ほんのり後悔あるんですけれど」と漏らし、会場の笑いを誘った。 八木響生、祖母との“見えない思い出”を役作り「どう出したらいいか難しかった」 「呪われたテープ」は、祖母・ハナの遺品整理のため実家を訪れた咲と夫の晴彦が、押し入れから1本の奇妙なカセットテープを発見するところから始まる。かつて祖母の霊を呼び出した儀式の録音テープだったそれを再生したことから、2人は逃げ場のない恐怖に巻き込まれていく。 村瀬咲を演じた八木響生は、咲について「おばあちゃん子で、幼い頃にしばらくの間おばあちゃん家に預けられてた時期があって、その時のおばあちゃんとの思い出を、大人になった今でも大事にしてる子」と説明。一方で、劇中には咲が幼少期に祖母と過ごした様子を直接描くシーンがない。だからこそ、「それをいかに出すか、お客さんに伝わるように演じるか」という点が難しかったという。また、演技でポイントとなったのが「声」。「声の距離感。遠かったり近かったり、あとゆっくりだったり、早かったりみたいなところを監督にすごい大事にしてほしいって言われまして」映像の中で声の距離や変化をどう伝えるのか、監督と相談しながら試行錯誤したことを明かした。 石川翔鈴、回答を拾い、さらに引き出す MCとしても上映会を牽引 「臍の緒」の出演者でありながら、この日はMCとして監督陣やキャストから次々と制作秘話を引き出した石川翔鈴。特徴的だったのは、用意された質問を順番に聞くだけではなく、登壇者の回答をその場で拾い、さらに質問を重ねていく進行。 ”ネタバレ注意”を促しつつ、八木が祖母とのバックボーンを作り込んだと語ると、具体的にどのような設定を決めたのかを尋ね役作りの細部を引き出した。豊田と東条のパートでは、「アイドルと呪い」という一見遠く感じられる組み合わせに着目し、本人役で呪いに巻き込まれていく難しさへとトークを展開。そして伊崎が「実物のノートを触ってほんのり後悔」と口にすると、その言葉も逃さず、「ほんのり後悔がなくなるように、皆さんにたくさん楽しんでいただけたら嬉しいですね」回答を受けてすぐに笑いへとつなげ、会場を和ませた。 相手の話を聞き、その中から次の話題につながる言葉を見つけ、もう一歩踏み込んで聞く。MCとしても登壇者それぞれの言葉を巧みに引き出し、時に回答を拾って笑いにつなげる。石川の軽快な進行が、ホラー作品の上映前とは思えないほど和やかな空気を作り、イベントを最後まで盛り上げた。 ぬいぐるみ、臍の緒、カセットテープ、木箱、ノート。「どこかに存在していてもおかしくない」モノが、ある瞬間から恐怖へと姿を変える『呪イモノ』。8月28日よりPrime Video「刺激ストロングSP」で配信、スカパー!「刺激ストロングチャンネル」にて放送が開始される。