公開30周年を迎える岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』が、監督完全監修のもと4Kリマスター化・Dolby Atmos化され、9月4日より全国公開される。これに先駆けて先行上映会が開催され、岩井監督と音楽を手掛けた小林武史が再集結。30年の時を経て、作品や音楽について語り合うスペシャルトークが実現した。

「以下、オフィシャルレポートより」

岩井監督は「『スワロウテイル 4K リマスター』ということで、30年ぶりにスクリーンに蘇ります」と切り出し、30年前、ロサンゼルスで作品を仕上げていた当時のエピソードを披露。

最初の試写会に完成が間に合わず、出来上がっていたフィルムを自ら日本へ運んだといい、「僕の映画です!って言いながら税関通って、まだ出来上がってないところのフィルムを切って繋いで、一応見れる状態にして上映したことを思い出します」と振り返った。さらに、「アゲハ蝶のCGが間に合っていなくて、空っぽなんです。だから飛んでいるテイの画だけで蝶がいない状態でした」と、今だから明かせる舞台裏も語った。

小林も「僕も音楽を作っていたので、ポストプロダクションをロサンゼルスでしました。当時はそういうコンピューターがまだ今のようなレベルでは全然なくて。ロスでやるかなっていうんで行きましたね」と当時を振り返った。今回初めて作品を鑑賞する観客もいることを知ると、小林は「いいですね、初めてこの映画を体験できるというのは。今の音響などの環境に合わせて仕上げて、さらにパワーアップしてると思うのですごい楽しめると思います」と太鼓判。

岩井監督は、4Kリマスター作業について「この作品は本当にいろんな無茶をやっていて。16mmが混ざってたり、いろんな現像を変えたりとか、いろんなアプローチをしていて」と説明。「改めて向き合って色の調整などが本当に大変で、苦労しました」と明かしながら、「1カット1カット見ながら当時のことを思い出しました。素敵な時間を過ごさせてもらいました」と語った。

音楽制作について小林は、「岩井君と話して、あとはもう割と僕が突っ走った、みたいな感じなんです」と回想。以前から岩井監督より「YEN TOWN」の構想を聞いていたといい、「初期衝動をそのまま録音していかないと何ともならないような、だけどそこに圧縮されたパワーがあるみたいなものだったんだと思います」と語った。

一方、岩井監督は小林に音楽を依頼したきっかけについて、「日本で誰に頼んだらいいんだろう?って考えても全く頭に浮かんでこない時に、たまたま車を運転していたらMy Little Loverが流れてきて、『このサウンド感まさになんだけど!』と思って小林さんに連絡しました」と、運命的なエピソードを明かした。そして公開から30年を経た現在について、小林は「30年前に多分そういうことをすでに僕らはもう感じていて。その思いが出ているから、多分今の時代でもだんだんそこが解決されているものでもないと思う」と語り、「この時代に見るみなさんがどう感じてくれるのかがすごい楽しみです」と期待を寄せた。

最後に岩井監督は、「30年前の完成披露試写の時にマイクを向けられて『もう精一杯やりました。もうこれ以上できません!』って言いました。改めてその言葉を今日残していこうかと思います。楽しんでいただければと思います」と締めくくった。