「私は100%ドイツ人で、100%日本人」

今回のインタビューで、もう一つ大切に聞きたかったことがある。日本人の母とドイツ人の父を持つ、ゆりあさんのアイデンティティについてだ。

二つの文化に触れながら育ったことは、大きな恵みである一方で、「自分はどこに属しているのか」という問いにもつながった。その経験は、世界大会で掲げたBeauty With a Purpose「Belonging Beyond Borders」の原点にもなっている。

ー 日本とドイツのハーフとして育つ中で、「自分はどこに属しているのか」ということを考えてきたと思います。これまでどのように感じてきましたか。そして、世界大会を経験した今は、ご自身をどのように捉えていますか?

ゆりあさん:
「私はドイツ人なのか、日本人なのか」ということは、これまで何度も考えてきました。日本ではドイツ人とのハーフ、ドイツでは日本人とのハーフと見られることも多く、二つの文化を持つことは大きな恵みである一方で、完全にどこか一つに属しているという感覚を持ちにくい難しさもありました。

今回、とても心に残っているのが韓国代表との出会いです。彼女もドイツで育った韓国人で、私の話にすごく共感してくれました。私のスピーチを聞いて涙を流しながら、「ユリアは100%ドイツ人だし、100%日本人だよ」と言ってくれて。その言葉が、本当にうれしかったんです。

今はドイツに住んでいるので、生活の中では当然、ドイツに囲まれています。でも、だからといって自分の中の“日本人”の部分が減るわけではない。世界大会での経験や彼女の言葉を通して、今は「私は100%ドイツ人で、100%日本人なんだ」と思えるようになりました。もちろん、この先また考え方が変わることもあるかもしれません。でも今は、この気持ちを大切にして、100%ドイツ人、100%日本人として生きていきたいと思っています。

写真:ご本人提供

自分自身の問いから、誰もが自分らしくいられる「居場所」づくりへ

ー 早稲田大学在学中には、ホームレスの支援活動をされていましたが、ドイツの大学院では、どのような活動をしているのでしょうか?

ゆりあさん:
私の大学院は金融系ということもあり、学生は男性が多く、その中でも白人男性が多数を占めています。海外から来た学生やジェンダーマイノリティの学生などは、自分がマイノリティであることを感じる場面があります。私自身も、日本とドイツにルーツを持つ一人として、それを感じることがあります。だからこそ、そうした学生たちがどうすれば自分たちの居場所を見つけられるのかを、一緒に考える活動をしています。学生同士が交流できる場をつくったり、企業と連携して採用イベントを開催したりすることもあります。

マイノリティだからこそ感じることがある。だからこそ、お互いに支え合いながら前に進める場所をつくりたいと思っています。

ー Beauty With a Purpose「Belonging Beyond Borders」を通して、最も伝えたいことは何ですか?

ゆりあさん:
私が一番伝えたいのは、「居場所は、理解することから始まる」ということです。自分自身が日本とドイツ、二つの文化の間で「自分はどこに属しているのだろう」と悩んだ経験が、この活動の原点になりました。でも世界大会を通して改めて感じたのは、居場所を求める気持ちは、多文化背景を持つ人だけのものではないということです。

理由は違っても、多くの人が「理解されたい」「受け入れられたい」と感じています。だからこそ、まず相手のストーリーを知り、理解しようとすること。それが、誰もが自分らしいまま居場所を感じられる社会への第一歩だと思っています。

写真:ご本人提供

社会貢献を「続くもの」に。世界大会で見えた次の課題

世界大会では、各国代表が取り組むBeauty With a Purposeにも大きな刺激を受けた。地域や団体、多くの人々を巻き込み、大きな規模で展開されるプロジェクトを目の当たりにし、ゆりあさんが強く意識するようになったのが「スケーラビリティ」だった。

BPM:世界大会を経験して、Beauty With a Purposeに対する考え方は変わりましたか?

ゆりあさん:
原点や伝えたいメッセージ自体は変わりません。でも、世界大会を通して強く意識するようになったのがスケーラビリティです。大きなプロジェクトを実現している人たちの後ろには、チームや支援してくれる人たちがいました。一人でできることには限界があります。

社会貢献活動を一時的なものにせず、社会的なインパクトとビジネスが両立する仕組みにしていきたいと思っています。人や企業を巻き込みながら、より多くの人に継続的に届く活動へ成長させたいです。

写真:ご本人提供

世界大会への挑戦を、最も近くで支え続けてきた家族。最終ページでは、現地まで応援に駆けつけた両親、幼い頃から夢を見守ってきた祖母への思い、そして世界大会を終えた今、ゆりあさんが見据える「これから」を聞く。